祝い事は屋敷が揺れる
「さて!話は変わるが、源太郎と源次郎。光と花を連れて来てくれ。利兵衛は道乃と三吉を連れて来てくれ」
「「「は、はあ」」」
4人とも「何故?」みたいな顔をしているけど、とりあえず一旦連れに行って来てくれた。
「「「若様。連れて来ました」」」
「うむ。光も花も道乃も、何故連れて来られたか分かっておらぬ様じゃな?これは、儂の事であり、3人にも関係ある事じゎ。三吉もついでじゃが、よく聞け」
「「「「は、はい」」」」
「道乃。道乃が儂に「側室でもいいから、 嫁にもらってくれ」と言って来た事を、父上を通じて殿にお伝えしたが、殿は道乃を側室にしてよい。とお許しくださった
そして、その場には居なかったが帰蝶様から、「六三郎なら道乃の婿でも大丈夫」とお言葉を殿を通じて言ってくださった
改めてじゃが道乃。まだまだ戦の世が続く。儂はこれから何度も出陣するから、利兵衛の歳まで生きているか分からぬ。
例え長生き出来ても、もしかしたら道乃に裕福な暮らしをさせてやれないかもしれぬ。それでも、
道乃は儂の側室として、共に人生を歩んてくれるか?」
「はい」
「「「「「「うおおおおおお!!!!!」」」」」
「「やったああああ!!」」
俺のプロポーズに道乃が答えたら、赤備え全員と、光と花の姉妹が歓喜の声を上げた。そのせいで、屋敷が軽く揺れる。
その揺れを感じたのか、台所に居たつるさんや智さん達、蔵で在庫の確認をしていた弥助と小吉含めた文官の皆か大広間まで来た
智さんに至っては古茶殿と子供達まで連れて来て、
「若様!今の揺れは地震ですか?屋敷は壊れてしまうのでは?」
と、早口で聞いてきたから、
「大丈夫じゃ!それよりも、古茶殿と子供達以外はそのままで良い。古茶殿。子供達と共に、水野様の隣へ座っていただけますか?」
「は、はい」
で、古茶殿親子に座ってもらって
「さて!先程の地震と間違えてしまう程の揺れじゃが、道乃からの「側室でいいから、嫁にしてく!」との希望に応えた事に、
赤備え全員と、光と花姉妹が歓喜の声を出したからじゃ。儂も驚いたが、地震でも戦でもないから安心してくれ」
俺が説明すると
「あの。六三郎様。於古都の事は」
「古茶殿。勿論、於古都殿を正室に。の話は拙者は了承しております」
「良かった」
「ですが、殿や徳川様のお話し合いの結果を、まだ聞いてないので、決めきれてないのかもしれませぬ。
ですが、正室にして良い。と言われたならば、しっかりと於古都殿が幸せに生きていける様に頑張っていきまする」
俺がそう言うと、道乃も
「古茶様。私の我儘で側室になる事が決まりましたが、あくまで正室は於古都様です。正室の座を奪おうなどの考えは一切、ありませぬ。
私は六三郎様のお側に居られたら、それで充分なのです」
「道乃殿。ありがとうございます」
うん。要らぬ疑いは無くなった様だな。だけど、
「利兵衛!紫乃殿!そろそろ泣くのを止めてくれぬか?」
「「申し訳、ありませぬ。ですが、若様が、道乃を、嫁に、して、くださるとは。ううう」
「私も、です。道乃が、こんな日が来るとは。ううう」
俺も、いや、親父もいつか、俺の娘が嫁入りが決まったらこんな感じで大泣きするのかな?
まあ、とりあえず話を進めるか
「利兵衛も紫乃殿も。今すぐ祝言を挙げるわけではないのだから、涙はその日まで取っておけ」
「「はい」」
「それと古茶殿。領地に戻る前に殿が仰っていたのですが」
「何でございますか?」
「徳川様より殿を通じて、「遠江国から武田が居なくなって、安全になったから古茶殿親子を浜松城へ戻せる様になったから、時期を見て迎えの使者が来るだろう」
との事です。これで、胸を張って徳川様の御側室として、御子達を育てられる事になりました。おめでとうございます」
「ま、誠にございますか?」
「ええ。それと、戦で岡崎城に寄った際、三郎様から「弟と妹は健やかに育っておるか?」と気にかけておられる言葉をいただきました。
徳川家嫡男である三郎様は、御子達に良くない感情は持ってないようですから、
その内顔を会わせる事もあるかと思いますが、きっと優しく接してくれるでしょう」
「誠にありがとうございます。殿が子供達を認めてくれるだけでなく、御正室の築山様も認めてくださり、
子供達が負い目を感じずに生きていける事が、とても、とても嬉しい限りです」
「使者殿がいつ来るかは分かりませぬが、それまではいつもどおり過ごしてくだされ」
「はい。誠にありがとうございます」
うん。とりあえず俺のやるべき事は全部やった。後は親父が新しい嫁さんを連れて来てからだ。それまでは戦や一揆が起きない限り、通常営業の日々だな。
 




