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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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休み無く働いて終わらせた事にしたら

天正三年(1575年)四月五日

近江国 長浜城内にて


「兄上。領地の内、半分と少しにあたる七万五千石は調べ終えたとの事で、浅井の残党は居ない。との報告です。


残りはおよそ四万五千石程となり、今と同じくらい働けば二十日ほどで調べ終えられる算段かと」


長浜城内では秀長が家臣達の報告をまとめてから、秀吉に報告していた。それを聞いた秀吉は


「もうよい」


「え?兄上、もうよいとは?」


「もう浅井の残党探しはよい。殿には今から浅井の残党は居なかったと文を出す!早く出陣しなければ新たな領地獲得の機会を失ってしまう。


北近江の半分以上を探しても居なかったのなら、最早北近江には居ないと断定して、出陣準備に取りかかれ」


「それは、分かりました」


「早ければ十日以内に殿から次の命令が来る。その時に直ぐ出陣出来る様にしておけ」


「ははっ」


こうして秀吉は新たな領地獲得の為に、信長へ虚偽の報告をした


天正三年(1575年)四月十日

美濃国 岐阜城内にて


「殿。羽柴殿からの文でございます」


信長は家臣から文を受け取り、読み出した


「思ったより早かったな。どれ「殿へ。家臣を総動員して、休みなく浅井の残党探しを行なった結果、北近江には居ないと判明したので、与力として出陣する御命令をいただきたい所存にございます」か」


「殿。よろしいでしょうか?」


「帰蝶。何かあると申すか?」


「藤吉郎の領地はおよそ十二万石ですよ。家臣を総動員して休みなく探しても、一ヶ月程で終われるのか疑問なのですが」


「むう。確かに。それを言われたら儂も疑わしく思うが」


「では殿。更に探す様に言いますか?」


「いや!!ここは猿の報告が虚偽であったとしても、あえてそれにのろうではないか!猿が佐久間の与力として、どれだけ働けるかで此度の事は何も聞かない事にしよう」


「殿がそう仰るのであれば」


「お蘭!猿への文を書け!文が届き次第、本願寺と対峙しておる佐久間の与力として摂津国へ出陣せよ!と。そして、佐久間にも猿を与力として行かせるから、本願寺を最低でも動かない様抑えこんでおけ!と文を書け!」


「ははっ!」


こうして信長は秀吉からの報告を疑問視しながらも、武田に集中する為に、秀吉の出陣を決めた。


天正三年(1575年)四月二十日

近江国 長浜城内にて


「兄上!大殿からの文でございます」


「来たか!!何処へ出陣するのか楽しみじゃあ!寄越せ」


秀吉は秀長から文を奪い取ると、内容を読み出した。そして


「はあっ!!?」


思わず目を大きく開いた


「兄上?大殿は何処へ出陣せよと仰せなのですか?」


秀長に質問されると冷静に振る舞い


「本願寺の本拠地の摂津国じゃ」


「それは、また」


「しかもじゃ。本願寺に対峙しておる織田家総大将は「あの」佐久間殿じゃ」


「ああ。確か三方ヶ原で大した働きも無いのにも関わらず、偉そうな態度を取って大殿から叱責されていたと噂の」


「そうじゃ。その佐久間殿じゃ。同じ佐久間でも、親父殿の親族の玄蕃の方が若いながらも、惚れ惚れする働きなのじゃがな。すまぬ、話がそれたな。


まあ、話をまとめるとじゃ。儂達は今から摂津国へ出陣して、本願寺相手に戦果を挙げられてない佐久間殿の尻拭いをするわけじゃ」


「数「だけ」は多い佐久間殿の軍勢でも苦戦しておるのですから、かなり過酷な戦になるでしょうな」


「それは仕方あるまい。だからこそ殿は、働き次第では新たな領地を下さるお墨付きをしたのじゃろう。厳しい戦いになるかもしれぬが、気張ろうではないか!」


「そうですな。では」


「うむ!摂津国へ出陣じゃあ!!」


秀吉は戦場を聞いて色々と考えたが、新たな領地獲得の機会として前向きに捉えていた


天正三年(1575年)四月二十五日

摂津国 織田軍本陣


場所は変わって此方は摂津国。佐久間信盛率いる織田軍の本陣。その陣幕の中の佐久間へ信長の文を持った家臣が入って来た


「殿。岐阜城の大殿からの文でございます」


「またか。どうせ、進捗状況を聞くのであろう?お主、内容を読み上げよ」


「は、はあ。では「佐久間よ。本願寺相手に戦果が中々聞こえぬな。余程、本願寺の者達が強いのか?お主の事だから、手抜きなどしておらぬよな?


とりあえず、この状況を打破する為に北近江から羽柴筑前を与力として、お主の元に向かわせた。合流したのち、何も戦況が変わらず、戦果も挙げておらぬと判明したら


それ相応の処分をお主に下す!この文が届いている時点で、本来ならお主の与力として待機していた柴田と明智は領地に戻らせた。


羽柴筑前が到着するまで当然、戦線を持ち堪えられると儂は期待しておるぞ!間違っても、本願寺に負けて後方へ撤退した。など無い事を願っておる」との内容です」


家臣の読み上げを聞き終えた佐久間の顔は青ざめていた。信長からの文はオブラートに包んでいるが、内容的には


「お前、本願寺相手に手抜きしてる?してないよな?埒が開かないから羽柴筑前を与力として向かわせたけど、合流しても戦果が挙がらない場合、お前を処分するよ?


とりあえず、羽柴筑前が到着するまでに戦線が後退するんじゃねーぞ!」と、ブチギレ寸前である事が読み取れるかていた


「い、いかん!殿はとてもお怒りじゃ。ど、ど、ど、どうすればよい?」


「殿。落ち着いてくだされ。とりあえずは、羽柴様が到着するまでは現状のままでも良いかと。大殿は戦線を交代させるなと仰っておりますし」


「そ、それもそうか。よ、よし。藤吉郎が到着するまでは現状と同じく、時々攻撃して、本願寺が出て来たら、砦の中に逃げる。を繰り返しておこう」


パニックになりながらも、佐久間と作戦は何も変わらなかった。

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― 新着の感想 ―
佐久間さん……( ´-ω-)シュン…お別れか(まだ早い?)。
2025/01/16 15:12 ざまぁ好き
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