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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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答えを発表

天正三年(1575年)二月二十七日

美濃国 岐阜城内大広間にて


「さて吉六郎よ!間もなく元服を行なうお主に問いかけた文の答え、いや、お主なりの考えは出たか?」


皆さんおはようございます。現在、殿や親父だけでなく織田家重臣の皆様に囲まれております柴田吉六郎です


一昨日岐阜城に到着して、親父にこの事と道乃の件を話したら、殿からの問題の答えを明後日話せ!と言われました


思い浮かんだ答えの良い点と悪い点を比較しては却下してを繰り返す事2日、現場を見てないので、これがベスト!とまではいかないけど、ベターかな?と思う答えを伝えたいと思います


「はい。この考えが正しいかは殿の御判断でお願いします」


「聞かせてみよ」


「ははっ。では、拙者の考えとしては、西の敵が動かない様、近くに所領を持つ家臣の方を行かせて、現在の大将の与力として共に当たらせる。そして、残った織田家全軍と徳川様と共に東の敵に総攻撃を行なう!でございます」


「ほう。その考えが出た理由は?」


「殿からの文で見た「凡戦しかしていない大将としての能力は並」な家臣の方は、所領が近くの者が来たら、自らは交代させられると思い、更に真剣に戦に取り組むであろうと思ったからであり、


所領が近くの方は、殿がどの様な命令を下すか分かりませぬが、働き次第では新たな所領が得られる可能性が有ると分かれば、西の敵を抑えるだけでなく、


被害を与える事も出来ると思ったと同時に、その2人か3人の軍勢を抜かした全ての軍勢で東の敵を壊滅まで追い込んだら、東の敵は徳川様に任せて、


織田家は西の敵に総攻撃を行なうか、こちらに有利な条件で和睦をして、戦を終わらせる事も可能だと思った事が理由でございます」


「ほう。西はしばらく抑えるだけにして、東を全力で叩けと申すか」


「はい。そして、東の敵を壊滅させた事を西の敵に伝えて、孤立無援状態である事を分からせたなら、これ以上織田家に弓引く事は無理であり、無駄であると分かる者から、離反していくと思ったのです」


「うむ。良き考えじゃ。全てが良いとは言えぬが、少なからず参考になるかもしれぬ。流石、柴田の神童じゃな」


「勿体なきお言葉にございます」


「うむ。吉六郎は戻ってよいぞ」


「ははっ。では、失礼します」


こうして、俺の答え発表は終わった。


吉六郎の足音が聞こえなくなるのを確認した信長と家臣達は


「柴田殿。誠に吉六郎殿は十一歳の子ですか?片方を壊滅させて、その事をもう片方に伝えて恫喝し、調略を行なう策を出すとは」


「親父殿。どの様な子育てをしたら、あれ程の子に育つのですか!?拙者の倅は」


前田利家を始めとする家臣達が勝家に声をかけ続けた。そんな中、信長は


「権六よ、お主、吉六郎に何かしらの情報を与えてはおらぬよな?」


「はい。倅には殿からの文を見せてもらった時も、具体的な事は言っておりませんし、倅も聞いてきませんでした」


「そうか。なのにも関わらず、あの考え。更には西の本願寺と東の武田が手を組む可能性も示唆しておったな。吉六郎の考えを策として使う場合、佐久間の与力に行かせるのは、あ奴になるが」


「殿。如何なさいますか?」


「即決するには人選で悩む。今日は解散して、近いうちに呼ぶ。皆も戻って良いぞ」


「「「ははっ」」」


こうして信長は家臣達を解散させた。その日の夜、信長は自室に籠っていた。そこに


「殿。入りますよ」


「帰蝶か。どうした?」


「殿。道乃の事です。吉六郎の考え次第と殿は申しておりましたが、吉六郎は殿の求める考えを出せましたか?」


「ああ。吉六郎は儂の頭の中に入っていた策を組み合わせた考えを策としてではないかもしれぬが、見事に出してくれた」


「では殿」


「うむ。道乃を吉六郎の側室として嫁入りさせて構わぬ」


「ありがとうございます。これで、殿をお支えする事以外に、吉六郎と道乃の子と三吉の子を見る為に長生きする理由が出来ました。殿。誠にありがとうございます」


「ふっ。帰蝶よ。道乃の件は解決したが、吉六郎は儂に新たな難題を出して来たぞ」


「どの様な難題でしょうか?」


「吉六郎はな、西の本願寺を半助以外の家臣も加えて抑えるだけの状態にして、その間に東の武田を壊滅まで追い込んでから改めて本願寺を攻撃する事を考えていたそうじゃ。しかも武田には織田家と徳川家の全軍をぶつけて総攻撃をすべきと言っておった」


「それはまた、何とも剛気と言いますか、それとも戦経験が少ないからでしょうか」


「まあ、まだ元服前じゃ。戦経験に関しては仕方あるまい。ただな、この時吉六郎は「西の敵に所領が近い者を行かせる」と言ったのじゃ。その部分がな」


「確か本願寺は摂津国でしたね。摂津国に近い所領を持っている家臣となると」


「近江国の猿じゃ」


「それは少々、いえ、かなり難しい問題ですね」


「難しいにも程がある!近江国から浅井の残党が完全に居なくなったと分かれば、あ奴を本願寺に行かせるのじゃが」


「それならば殿。藤吉郎に所領が増える可能性を示唆する文を出して浅井の残党探しをさせて、居ないと報告をしてきたなら、本願寺に行かせて良いのでは?」


「それは儂も考えたが、やはりそれが無難か。そうじゃな、あ奴にその旨の文を出して働かせるか。お蘭!


今の内容を文に書いて、近江国の猿に届けよ!新たに所領が増える可能性の示唆は、多めに書いておけ」


「ははっ」


「さあて、これで猿がどの様に働くかで、武田へ総攻撃も出来るぞ。暫くは情報を得るくらいしか出来ぬのがもどかしいがな」

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