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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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報告を受けた主君は考える

吉六郎から相談と報告を受けた勝家は、信長の元へ向かいながら内容をどの様に伝えるか悩んでいた


「道乃が関わっているからな。間違いなく帰蝶様は引かないだろう。それどころか自らの意見を押し通す可能性が高い。かと言って内容に虚偽を含めるなど」


悩んでいても、同じ城内に居るのであっという間に信長の部屋の前に到着する。勝家は


(やはり全てを伝えるしかあるまい)


考えがまとまった様で、


「殿。権六ですが、お時間よろしいでしょうか?」


「うむ。入れ」


信長からの許しを得た勝家が襖を開けると信長は、


「これは違うな。これも何やらしっくり来ない。これは」


と、紙に漢字の組み合わせを書きながら、何やら悩んでいた


「殿?一体何をしておられるのですか?」


「うむ。お主の倅の吉六郎の元服後の仮名と諱の両方に儂の名の字を幾つか使った場合、どの組み合わせが良いかを考えておった」


「え!?と、殿。そのお心遣いは大変喜ばしい限りなのですが、倅は未だ何も成し遂げてないのですから、その様な厚遇は」


「権六よ。吉六郎は既に織田家の為になる事を成し遂げたぞ。先ず、領地から上質の麦粉を織田家名義で売って、更にその麦粉を使った料理を京や堺で流行らせた。


その結果、織田家に莫大な銭が入った。次に、元服前に初陣を経験して武田を撃退した。特に、この武田を撃退した事は、徳川家を救ったと言っても過言ではない。


もしも、吉六郎達が全滅していたら、岩村城の武田軍およそ三千が三方ヶ原に参戦していただろう。そうなれば、二郎三郎達も討ち取られていたかもしれぬ。


しかし、そうならなかった。それは吉六郎達が武田軍三千に痛手を負わせたからであろう。そう思わぬか?」


「そう言っていただくのは大変、親として嬉しいのですが、あの戦は玄蕃や勝蔵達が主力として戦っていたからこそ」


「権六。その勝蔵と玄蕃が揃って「吉六郎の策と武器が無ければ、そして自らが危険な場所を受け持つ気概を見せなければ、我々は武田に恐れ慄いて全滅していたかもしれない」と言っておるのじゃ。


これで吉六郎が戦ってないと言っては、殆どの者が戦ってない事になるぞ?」


「そ、それは」


「権六。儂はな、吉六郎が権六の子だからこの様な事をするわけではない。元服前に見事な働きを見せた事への褒美の一つとして、そして元服後も同様の働きを期待して、この様な事をするのじゃ」


「殿。殿のお心遣いが分からず、申し訳ありませぬ」


「まあ良い。初の子の元服なのじゃ。色々な思いが出るのも仕方あるまい。それよりも、何か儂に伝えたい事があるのではないのか?」


「はい。実は倅が道乃から「側室でも構わないから嫁にしてくれ」と言われたと。ですが倅は、


「殿や帰蝶様が道乃を政略結婚の駒として使うのであれば、自分は何も出来ないので、先ずは相談を兼ねて報告を」と言う事で拙者が聞いた次第なのですが」


「はっはっは!まったく、吉六郎はどれ程、人を魅了するのじゃろうな!歳が十にも満たない少女から嫁にしてくれと言われるとは」


「それで、殿。如何なさいますか?」


「儂としては」


信長が考えを言おうとした時、


「殿」


帰蝶が部屋に入って来た


「帰蝶か。今の話、聞いておったか?」


「ええ。だからこそ言わせてもらいますが、私は道乃の思いを尊重して、吉六郎の嫁にしてあげて欲しいのです」


「それは帰蝶。道乃を政略結婚の駒に使うな。と言う事か」


「はい。私の血縁者といえど、没落した武家の姫なのですから、政略結婚で嫁いだ家で不遇な扱いを受けるかもしれませぬ。私は殿が居たからその様な扱いは有りませんでした。


ですが、殿の様なお人が政略結婚をする家に居るとは思えませぬ。それならば、道乃の思いを尊重して、吉六郎に嫁がせてくださいませ」


帰蝶はそこまで言うと、信長に頭を下げた。


それを見た信長は


「帰蝶。頭を上げよ」


「では、殿」


「まあ待て帰蝶。権六よ、吉六郎がお主に相談した事は、これだけではないのだろう?出来る限り最善の策を考える吉六郎の事じゃ。


儂からの問いかけの事で権六にも相談したのではないのか?どうじゃ?」


「確かに相談されましたが」


「それで、吉六郎の考えはどの様な内容であった?」


「倅が考えた内容は聞いておりませぬが、倅曰く「一応考えはまとまりつつある」と」


「ふむ。ならば、帰蝶!道乃の件は、吉六郎の考え次第じゃ!儂が納得出来る考えを出せたならば!帰蝶の希望どおり、道乃の思いを尊重しようではないか」


「殿。ありがとうございます」


「権六!明後日、吉六郎から考えを聞く。しっかり考えをまとめておく様に伝えておけ」


「ははっ」


「くっくっくっ。戦の本番でもないのに、胸が高鳴るのう。さて、神童の考えはどの様な物か、楽しみじゃ」

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