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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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逆求婚と問題文の質問

天正三年(1575年)二月二十日

美濃国 某所にて


「岐阜城まで五里と少しくらいの距離まで来たか。利兵衛!身体は辛くないか?」


「若様。お気遣いありがたき。源太郎達が拙者に気を遣って歩く速さを遅めにしてくれているおかげで、無理なく歩けております」


皆様おはようございます。現在、岐阜城へ向けて歩いております柴田吉六郎です。岐阜城で元服を行なうので、向かっている道中です。


今回の道中の共のメンバーに。本当に源太郎が居て良かったと思いました。


その理由は、源太郎以外の面々の内、銀次郎、庄左衛門、三四郎です。3人ともジッと出来ないタイプなのか、放っておいたら歩く速さが徐々に速くなっていく上に、猪や鹿を見つける度に「退治に行かせてください」と


その都度、俺にお願いしに来て源太郎から「若様の元服より鹿退治や猪退治を優先するな!」と注意を受けては再スタートを繰り返すので、改めて長めの予定を取っておいて安心してます


で、そんなこんなで遅い時間になったので、今日の宿に泊まります。利兵衛は流石に疲れたのか、部屋の柱を掴まないと立ち上がるのも一苦労な様です。


そして、共の5人の中で控えめな性格だけど源太郎と同じくらい落ち着いている喜三郎が利兵衛を気遣ってくれます


「利兵衛の爺様も、あまり無理をしてはいけませぬぞ?道中で無理をして岐阜城に着いた途端に倒れてしまっては、若様の元服の御姿をその場で見る栄誉を捨てる事になってしまうのですからな」


「喜三郎の言うとおりじゃ。利兵衛殿は若様が織田様へ同席の許可をいただける様に文を出したのじゃ。儂達の歩く速さに付き合わせた結果倒れては、若様も大殿からは勿論、織田様からも叱責を受けるだろう。


そこら辺を分かっておるか?銀次郎、庄左衛門、三四郎」


「その事はすまぬ」


「分かっておるから以降は抑えたのだが」


「面目ない」


3人とも一応、反省している様だな。少し話題を変えるか


「源太郎。とりあえずその辺にしとこう」


「若様がそう仰るなら」


「すまぬな。改めてじゃが、利兵衛以外の5人に聞きたい。これは儂が殿からいただいた文の中に書いてあった問いじゃ。殿曰く「儂の立場になって考えよ」とあった」


「若様。織田様からの「儂の立場になって考えよ」とは、もしや」


やっぱり源次郎は早い段階で気づいた様だな。だけど


「源太郎。そこから先は言うでないぞ?これは、銀次郎達にも考えてもらって、それぞれの意見を聞きたい。意見が同じ様な内容になっても構わない。


では、説明するぞ」


と言う事で、例の問題文を皆に話した。そこから大体30分くらいじっくり考えてもらって


「さて、何かしらの意見は出たと思う。先ずは銀次郎!お主が大殿の立場ならどうする?」


「拙者がその様な立場ならば、西の敵から攻めて、数を減らした後に東の敵を叩きます」


「ふむ。庄左衛門は?」


「拙者は東と西に織田家の動かせる最大限の軍勢を半々に分けます」


「ほう。三四郎は?」


「拙者は東と西どちらかと和睦して、敵を一つにすべきかと。そして、その一つを叩きのめせば良いと」


「ふむ。軍勢と調略を使い分けるか。喜三郎は?」


「拙者は、西の敵は見張るだけにして、その隙に東の敵を壊滅させる事に集中すべきと」


「ほう。源太郎は?」


「拙者も喜三郎とほとんど同じで、西の敵は対処出来る軍勢を置いて、東の敵に残った全軍をぶつけた方が良いと」


「ふむ。やはり、皆の意見はそれぞれの性格が出る様じゃな。儂も岐阜城に着くまでには何とか考えを決めたいと思う。皆の意見は参考にさせてもらう」


「「「「「ははっ!」」」」」


と、皆が落ち着いたところに、脳筋の中では少しだけ賢い三四郎が


「ところで若様。道乃様からの要望は受け入れるのですよね?」


「三四郎!」


「お主、場を考えよ!」


「利兵衛の爺様が居るのに」


「若様を悩ませるな!」


と、4人から総ツッコミを入れられてました。


まあ、道乃の数少ない肉親の利兵衛からしたら、気になるところだし、話しておくか


「そこまで聞きたいなら、答えられる範囲で答えよう。道乃が側室でも良いと言ってくれたのじゃ。その気持ちを無碍にする事は出来ぬ。


だから、殿や帰蝶様が「道乃は徳川家の他の同盟相手に嫁入りさせる」等と言わなければ、そのまま側室にしても良いと思うが、利兵衛。お主はどうじゃ?


儂は織田家の家臣の倅じゃ。10年後くらいに父上から家督を継いでも、大殿が誼を結びたいと思っておる大名と比べると、大した領地も銭も無い。その時、未だ戦乱の世であったなら、


道乃に苦労させてしまうかもしれぬ。そうなってしまっては」


「若様」


俺が続きを話そうとすると、利兵衛が


「若様。道乃も三吉も、今では斎藤家のたった二人の、いえ、帰蝶様を含めても三人だけの血縁者ではありますが、生まれてからは百姓として生活していたのです。


柴田家が領主になる前の美濃加茂村は、野盗が頻出した上、不作が続き、このままでは、働けない幼子や年寄りは山に捨てるか、人買いに売るか、最悪、自らの手で間引くか。


そんな事も頭によぎる程、追い詰められていた時に、若様か吉田殿達を共に連れて、畑を改善していただき、野盗を殲滅していただいて、生きられる環境を下さったのです


そんな若様と共に苦労出来るならば、道乃は喜んでその道を選ぶでしょう。拙者としては、道乃が若様の側に居て、共に泣き、共に笑う人生を送れるのならば、


反対などありませぬ。帰蝶様や織田様が反対しなければ、道乃を宜しくお願いします」


そこまで言うと利兵衛は、平伏した


「分かった。殿次第だが、許しが得られたら道乃を側室として迎えよう」


俺がそう言うと


「利兵衛殿!おめでとうございます!」


「何とめでたい!」


「今日は良き日じゃ!」


「若様の嫁取りの言葉を直接聞けるとは」


「皆にも聞かせてやりたい!」


と、5人とも泣いて喜んでおります。まあ、喜んでいるし、岐阜城に着いたら元服前に親父に伝えておこう。

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