母の反対と脳筋のアイディア
一部の人は、「召し抱える為の金とか領地とかどうするの?」とか「親父の勝家に報告しないで自分勝手していいの?」と思うかもしれませんが、そこら辺をツッコミたい人は細かい部分まで書いてる作品をお勧めします。
天正二年(1574年)十一月二十六日
尾張国 中村にて
「私は反対だよ!長男の治兵衛を藤吉郎に強引に連れて行かれた時、「織田家の中で儂が出世したら、おっ母や皆に楽させてやれるんじゃ!分かってくれ!」と
言われて、賢い治兵衛はその言葉を信じて藤吉郎と一緒に行ったけど、それ以降全く音沙汰が無いじゃないか!」
「智。落ち着いてくれ。此方の柴田家の皆様が小吉を絶対連れて行くと言ってるわけじゃないんだから」
皆様こんばんは。現在、宿泊と食事でお世話になっている家の夫婦喧嘩を静観している柴田吉六郎です
昨日の夕方前に猪退治をした後、智さんの次男の小吉が「武士にしてくれ」と家臣希望をした後に、
智さんの旦那の弥助さんが、村の男達と鹿退治から帰って来て、そこでこれまでの出来事を簡潔に話したら
とりあえず家に来て飯でも食って泊まっていってくれ。と言われたので、お言葉に甘えて翌日なのですが、
「私は弥助さじゃなくて、小吉に言ってるんだよ!いいかい小吉!お前の強くなって私達を守ってやりたい!という気持ちは嬉しいよ。
だけどね、武士になったらなったで、戦で簡単に死んじまう。それに先祖代々武士の家の人間から元は百姓だからと馬鹿にされて、馬鹿にしてきた奴らより
出世する為に人でなしな行動をとる様になるんだよ。私の弟の藤吉郎みたいに!」
と、智さんが秀吉に対して骨の髄まで恨みまくりなのですよ。これは言葉次第では火に油になってしまうので、沈黙してます
ただ、こんな時でもウチの脳筋達は
「若様。見たところ小吉は若様より年下の様ですので、我々が日頃やっている訓練は無理だと思うのですが」
「確かに!今すぐ戦で働く事を求めてはいけぬ!」
銀次郎と新左衛門が空気も読まないで自由な発言をしていると、
「若様。母君が小吉と離れ離れになる事を拒んでいるのですから、家族全員召し抱えるというのはどうでしょうか?」
「「「え!!?」」」
源次郎がいきなり2人以上の脳筋全開のアイディアを出して来ました
「源次郎。一応、理由を教えてくれ」
「はい。理由として、小吉の歳が三吉様と近いので、今から水野様や利兵衛殿に鍛えられたら、元服した時に文官として内政で働けると思いましたし、
父君も母君も料理が出来る様ですし、それならばまとめて若様の家臣として召し抱えたら良いかと」
うん。中々的確な事を言ってるな。確かに文官は欲しい。今は利兵衛他数名が文官の仕事もしてるけど、
利兵衛を筆頭に高齢者多めなんだよね。小吉は史実では、それなりの大きさの領地の差配をしてたから、ちゃんと内政を教えたら文官として働ける可能性はある
でも、それで両親もまとめて召し抱え!というのは、と思ったけど
確か弥助さんは、史実の豊臣秀次切腹に巻き込まれて切腹させられているし、智さんは弥助さんと子供達に先立たれて出家して尼さんになっても、
秀吉の正室の寧々さんと同じ様に幕府に監視されて寂しい晩年を過ごしたんだよな。
よし!決めた!俺と親父が史実どおりに死なない為に動いたら、巡り巡って秀吉に振り回された人達の人生も変わるかもしれないし
源次郎のアイディアを採用しよう
「よし!分かった!」
「若様?」
「分かったとは?」
「源次郎!お主の献策を採用する!弥助殿、智殿、そして小吉!全員で儂の領地へ行こう!」
「「ええ!?」
「本当ですか吉六郎様!」
「本当じゃ!ただし小吉!お主を源次郎達みたいに今すぐ戦に出す訳ではない。それは弥助殿も同じくじゃ!もしかしたら、小吉が元服する頃には戦の無い世になっているかもしれないから
先ずは武芸以外の事を覚えていく事になる。小吉!」
「はい!」
「最初に強くするのは武芸や身体ではなく、頭じゃ!それでも武士として生きていく覚悟はあるか?」
「おっ父やおっ母が戦に巻き込まれない様になるなら!」
「よろしい!小吉のその目を信じよう!と、いう事じゃ!弥助殿、智殿。儂と共に美濃国へ行こう!今すぐに決めなくて良い。儂は3人と共に清州の近くに用事がある。
そこに行ってから美濃国へ戻る途中で、再び中村へ寄る。その時に共に来るか否かを教えてくれ」
「「じっくり考えさせてください」」
直ぐに答えは出せないから、これでいいか。
 




