平らくない
もちろん平坦ではない。
これまでの、そしてこの先の道、路。分岐のない単線に見えていつしか、登り坂もあれば下り坂。まさかという坂もあるよう。
およそ坂があるならば。
どこまでも登っていく、この坂を。
若さ故に、蛮勇は猛る。打ち切りでも、戦いはこれからだ。終わりを示さない浪漫。男子の世界の理だったりするもの。
重き荷物を背負い、登るがごとく。
老いれば、巨人でも立ち止まる。終着を間近にして、権力者を孤独に、深く溜まった感慨が振り返らせる。ただ、労役に終わりはない。次の誰かが引き継いでいく。
登る人は登り、ひとりの人は一人。
思うよりは長い坂は、でも、ばかりではない。
長い長い下り坂を、君を後ろに乗せて。
合流した道を、頂点はどこの時点、今でもよいから。背中に重みを感じつつ、坂をゆっくりゆっくり下っていく。ゆっくりゆっくり下っていく。
そういうふう、そんなのを、夢想しては自転したり。
されど道、路。平らくない。
まさか、まさか。
坂道は、真ん中に突然穴が開くことも。
パンクする。ミチロウだったら、臓物を投げつけている。女子に食らわせている。
さかしらな人なもの。登り下り、陥穽は在るべくして在る。
今この時だけは、心平らかに。