閑話・は自分は、普通だとおもってる栗栖のお仕事9
序盤のオープニングソングが始まった。
VRゲームからの異色のデザイナーとして今日『ノブコ』ブランドが誕生したのであった。
最初こそ重厚な音楽から始まった。
モデルの登場からは、すぐに軽快な音楽に変わる。
最初のモデル達の衣装は、モンスター・イン・エンドアースでも人気なNPCレディー・メーカー愛用の薄手の下着の上下に、せんじょうてきなベビードールなどで会場の空気を変えていく。
また音楽が変わると冬物の衣装に変わっていた。
(レディ・メーカーのお好みのせいか、かなり扇情的に攻めているね)
流石の栗栖も高校生である。
プロの一流モデルがその程度の視線など、鼻で笑う程度のものだが、視線をどこに向けていいか悩ましい所であった。
もっとも栗栖がそんな感じであるからか、
セレナ姉さん経由で仕事を頼まれたりした。一流モデル達の相手をしてたのが可愛いと好評過ぎて、次をお願いされるほど好かれてたりするのは内緒であった。
━━━━━━━━━━━━
★(新人モデル阿倍野姉妹を見る栗栖視点)
「・・・・・・・・」
「ごくっ・・・・・・」
「っう・・・・・・・」
(はあ~、案の定か)
新人モデルあるある、もとい三姉妹はプロのモデルではない。ただの一般人でしかない。
ただ普通の一般人よりも恵まれた家に生まれた少しだけ運に恵まれた。ちょっとと大きな会社のご令嬢に生まれただけの素人であった。
ただ幸運だったのか、不運だったのかこれといった失敗すること今までは知らずにいたようだ。
そう、緊張することすら無かったのだ。
モデル達にとって、ランウェイは戦場である。
いかに美しく自分を魅せ尚且つ、ブランドの商品を際立つかを見せるのが仕事である。
今回の会場はもとがラブホのため全体的にぶち抜いても狭い。
そのためランウェイは僅か8メートルと短い。
そんな難しい距離をただ歩くことの難しさを初めて認識したようであった。
(セレナ姉さんならなんなくこなせるけど、あの三姉妹は所詮素人だったな)
「・・・・あのさ、何を勘違いしてるのかな?」
「・・・・・へ?」
「君たち所詮は素人の親のごり押しで、一応モデル扱いしてるけど、所詮はただの素人だよ?、緊張とか笑えるんですけど」
栗栖は、底意地悪いNPCのイメージで罵り始める。
「えっ、・・・」
「はっ?」
「なんですって?」
三姉妹は先ほどまで飲まれていたことも忘れて、栗栖の馬鹿にするような挑発に、頭の血が上っていた。
「・・・マネージャー、いまの発言どういうことかしら」
長女の阿倍野桃子が辺りの気温が下がるほどの怒りを内面にて押さえるが、その眼差しは雄弁である。
「ふふふ、そんなことも言われないと理解出来ない馬鹿なのかな?」
「君たちの親がごり押しでモデルデビュー出来たけどね。誰も君たちを見ないし、気にも止める企業、セレブはいないよ。ここにいるのは所詮二流企業の下請け会社の人間だけだしね。それでも君たち程度の新人モデルに注目するなんてあるわけないじゃないか。クスクス笑える~」
ようやく26年の介護生活から、
一人暮らしに慣れてきました。