お昼
一度お昼だから解散した。ダンジョン探索は午後からかな、
サミエル『3時頃お見世に集合ね』
セリシア『はいは~い、お腹すいたわ』
クリス『了解、また後程』
━━━━━━━━
下に降りたが、ラブリンが近寄ってきた位で誰も居ないようだ。
「買い物行くけど来るか?」
「わふわふ♪」
尻尾フリフリ、来るようだ。
「リード持ってきて」
「わふわふ♪」
嬉しそうに玄関に向かった。
自転車を押しながら、リードを繋いでる。こうしとくと散歩後に買い物行くのが楽だからだ。
「母さんも買い物しとけば明日。ゆっくり出来るよな」
拙い親を思う気遣いってやつだ。恥ずかしくて母さんには言えなけどね。
「鯖が安いな、少し多目に買ってみりん干し作っとくかな」
鯖が半身5枚入りで398税込別を三パック、サーモンの半身600税込別も購入、春先の初鰹もあったけど値段がやはり高いな諦めよう、
「春キャベツが安いな、豚こまと烏賊も買っとけば広島焼きが食えるな、まあ~ベッキーと母さんの食べる量を考えるとキャベツ三玉は必要かな」
小麦粉なんかは父さんが休みの日に買ってきた業務用がまだあるしね。あれセメント袋って言われても納得しそうな量だけど、二月持たないからな。
「こんなところかな」
ディスカウントスーパーマーケットから出ると。子供達に遊んで貰ったのか御機嫌なラブリンと。数人の小学生がいた。
「ラブリン遊んで貰ったのか?」
「わふわふ♪」
拾い食い防止付きのリードを着けてるラブリンが珍しいのか、たまに勘違いするひともいる。
「お兄さんこの子が着けてるのって………」
「ああ、拾い食い防止だよ。ラブラドールってたまに出した物とか、ビニール関連とか誤飲しちゃう子が多くてね。ドイツなんかでは法律でもあるけど飼い主は、誤飲防止にこうしたリードを取り付けるんだよ」
僕がにこやかに説明すると。二人組の女の子達は、ばつが悪そうな顔をしていた。
「後は近所の人に噛みつかないようにって配慮もあるからね」
「配慮ですか?」
「うん、あんまりこう言う言いかたはしたくないけど。動物って法律的には物とかの扱いなんだよね」
「物とか……」
ちょっと何言ってるの的な睨む顔をしていた。
「でも僕らがいくら家族と言っても、法律的には変わらない。例えばそうだな……、うちの子が遊びのつもりで甘噛しても、周りからみたら大きな犬が子供を噛んでる。になってしまう可能性が高いんだ。場合によってはうちの子だけが、処分されてしまう可能性がある。犬が悪くなくってもね」
「そんな………」
「意地の悪い人は何処にでもいるからね、少しでも嫌な思いをしないように、こうしたリードを着けてるんだよ」
「へえ~、ちゃんと考えられてるんですね」
おっとりした面立ちの少女が感心したように呟いた。
「ラブリン行こうか」
「わふわふ♪」
「ラブリンって言うんだねまたね」
女の子達に挨拶してから自転車に乗って帰宅した。
◇◇◇◇◇◇◇◇
鯖はみりん干し用とは別に夕飯ように下拵えを済ませ、サーモンは三等分にする。ベッキー、母さん用と父さんと僕ら用と分ける。食べる量が違うから、この段階で分けないと悲しい思いをするからだ。
「金目鯛の煮付け………」
前に大振りの金目鯛が安かったから一匹買ってきてまとめて煮付けたんだけど………。二人の食欲を忘れていた。
僕らには骨しか残されて無かった。
無念…………。