栗栖の遠い~。親戚姉弟さんと出会った~
★方城 五美視点
珍しくおじいちゃんが昨日から仏頂面である。
ある意味平常運転ではあるが、不機嫌ではないようだ。その証拠に栗栖兄さんを呼び出してるしね。
父さん曰く。遠縁の親戚が遊びに来るそうで、父さんは博多まで車で出迎えに出掛けているのが気になるかな?、
まあ~、おじいちゃんが栗栖兄さんに任せたい相手ではあるから気になるんだけどね。
栗栖兄さんは昔から訳ありの子供と仲良くなるのが上手だったから、きっとその遠縁の親戚にも何かとあるのかもしれないわね。
「また、不思議なこと起こったりしてね。ウフフフ♪」
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本家に来るのは夏休み以来のことだ。
(ターニャ、ドミニクは元気かな?)
多分、ベッキーとはSNSで連絡してると思うが、案外男の友達関係はドライである。
「おはよう栗栖で~す」
『はあ~い、栗栖君入っておいで鍵は開けたからね』
今のは六美伯母さんだろうか?、そう言えば伯父さんのお迎えが亡いのも珍しいけど、僕の仕事ってなんだろうか?、
詳しくはおじいちゃんから話すと言われただけで、栗栖は2万と言う破格のお小遣いに釣られた哀れな欲望の使者であった。
本家のいかにも歴史的価値がありそうな門から玄関を抜けると庭に入る。いわゆる日本庭園になっている。門の横に本邸に向かう石畳がある。
方城家・本家は、本邸、別邸、道場、使用人宅、一人用のアパートメントが裏門のしたにある駐車場のそばに二棟建っていた。こちらに内弟子と未婚のお手伝いさんが住んでいる。
この本家の敷地から裏門に抜けて駐車場から見える範囲の周りの山々は、ほぼ方城家の持ち物であった。
未だに多くの土地を持っていられるのは持ち山々にさほど価値が無いことと。利便性の悪さで税金も安い事があげられる。
また地元の名士であり門弟には公務員が多いことも関係あるのかもしれないね。
「六美伯母さんおはようございます」
「おはよう栗栖はん、朝からご苦労様どすな~、うちの人がお客様を迎えに出てるさかい上がって休みなはれ」
「はい!、お世話になります」
はんなりと大和撫子の見本のような女性こそ、あの強面の伯父さんを尻に敷いて、さらに手のひらで頃がせれるある意味、飛鳥ばあちゃんの次に怒らせてはいけない人で、古くは旧名家の近衛家の分家のお嬢様で、茶道、華道、琴の免許皆伝を持っている。
古き良きまさに日本女性のお嬢様を体現してる人だ。
「本日はお世話になります」
基本的に好い人なのだが、地雷元が色々と隠されていたりするので色々と気を付けなくてはならないのであった。