第七陣リリースまで後2日
★方城 東視点
『おお久しいの兼光殿、御壮健かな?』
『はい、大叔父殿ご無沙汰しております』
その日、珍しく遠縁に当たる北条家の当主から電話が来たので内心やや驚いていた。
もうかれこれ数年前に、北条家のご息女、ご子息が事故にあったと聞いて、見舞いであったきりである。
(確か、二人は栗栖と同い年であったな・・・)
『此度のシルバーウィークにそちらにお伺いする事がありまして、よろしければ本宅にご挨拶したく思っておりましてな』
『おお~、そうであったか、快く出迎えよう』
『ありがとうございます。つきましては娘と息子を連れて参りますので確かお孫さんが同い年ではなかったかと思いましてな』
(ふむ、噂では車椅子生活と聞く、この辺りはいささか厳しいであろうが、栗栖ならば何とかしてくれるかの~?)
甘い考えではあるが、年の近い者との交流は兼光の要望であろうと察する。
『いさい承知した。栗栖には伝えておこう』
『ありがとうございます』
気色が声音に混じっておる。身体障害者となれば何かとストレスもたまろうと察する事ができるだけに、東もほろ苦くため息を吐いていた。
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と言う訳でなぜか、シルバーウィークに本家に呼ばれた栗栖で~す。
じいちゃん曰くお小遣いを弾んでくれると、大きなニンジンぶら下げられたので、忠犬の如く頑張る所存です!、ワンワン♪。
やはり~、ウェーブマネーよりも現金があると安心感が増しますからな~。わはははは。
うし、頑張るべ~。
お小遣いに釣られた栗栖は、この日とある姉弟と出会うことになる。
それがある奇跡を起こすことになるとはこの時、誰も分かる者は居なかった。
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★北条 莉奈視点
ああ~、どうしましょうか・・・、
まさかあのクリス君が、遠い親戚だったとは、
「ふむ、こうしてみんなで出かけるのも随分と久しぶりだね」
「ええ、貴方!。ウフフフ♪」
お母様のご機嫌もいいようですわね。
「・・・・・・・・」
そっと莉央が手を繋いでくれましたが、なんでしょうかしらこの気持ちは・・・。
とても困ってしまいますわね。
(私が健常者なら・・・、ふふふ。それでは出合えることも無かったのかしら?)
嬉しさと、恐怖と諦めを煮詰めたような混乱。そんな気持ちのまま莉奈と莉央姉弟を乗せた新幹線は間も無く博多に到着しようとしていた。