閑話・運営の斜め上に向かうプレイヤーに運営さんも驚かされます
★エンドアース運営さん目線
『クリスタル商会の活躍により【湖の町フラン】への定期船が再開されるようになった』
俺の仕事は、ワールドアナウンスが流れたときのログの確認と、通常クエスト、または隠しクエストのクリア、発見された時に公式サイト板にコメを書き込んで、プレイヤーを誘導することも含められていた。
「ふ~ん、ようやく湖の町の航路が解放されたのか・・・、時間かかったと言うべきか、このゲームの自由度が高いからの弊害と言うべきかね~」
湖の町には、海のダンジョンに必須なアイテムまたは、そこでしか手に入らない特殊な魔法がある。
また水属性寄りの種族なら、レア種族特性をゲット出来るチャンスもあるので、
通常ゲームをやるならここは通らなくてはならない仕様となっていた。
「他国の所属になったプレイヤーは、これから大変だろうな~、フフフ」
それにしても・・・。
「またクリスタル商会のクリス君か、本当に変な引きを絶妙と言うか変なタイミングで引いたりして、こっちが引いて欲しいときに、メインストーリークリアしてくれるから、とても有りがたいプレイヤーなんだけどね~」
どうやらうちのバイトプレイヤーではなく、契約した人気プレイヤーらしいから驚きである。
「素であれだと、日常でもなんか色々事件に巻き込まれてたりして~、ハハハハハまあ~、そんな人間そうそういないか」
この時、自分のまさかの呟きが、年末に起きたとある事件を聞いて、顔をひきつらせることになるのだが・・・
それはまた別の話であった。
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VR機器のバイザーを上げて、身体に取り付けた機器を外していく。
「おっとこのブレスレット形のタブレットはつけとかないといけないんだったな」
今度、エンドアースの運営から、素の能力値を調べることになったので、二週間ほど着けたままにしとかないといけないようだ。
僕はエンドアース、運営会社と契約してる関係上、こうした新しい商品のモニターリングのようなこともしなくてはならないようだ。
まあ~、モデルなら化粧品の試供品みたいなものである。
元々、エンドアースを運営してる会社は医療メーカーである。
いままで介助が必要な弱視、失明などの障害者でも腕輪形タブレットと専用のVRバイザーを繋げば擬似的に視力が戻る研究等もしているようで、
僕が、本家で武芸をやってることや飛鳥井流の蹴鞠をやっていたことも伝えていたので、健常者の平均値をだすためにこうしたモニターリングを行うことで、
ゆくゆくはバイザーからサングラス程度の大きさにしていきたいとの話であった。
まあ~、僕としてはモニターリングの対価として、このブレスレット形のタブレットが貰えるのでラッキーてな感じです。
『お兄!?、お腹空いた~』
やれやれベッキーの催促である。
「はいよ~、今行く!」
こうして夏休みあとの貴重な休みはあっという間に終わりを向かえていた。