閑話・装備革命が起きました!?の裏側で
『アメリカ〇〇〇〇州・エンドアース本社』
★キイロこと小金井喜市郎視点
「んんんん~、はぁ~、ようやくランバルト王国が動き出したから、これで他の世界情勢も色々と動きだすよね~、はあ~にしてもクリス君には、毎回驚かされるよ」
ほんの少し前に※付けて、コメントしてたのは何を隠そうキイロであったのだ。
もっとも上からせっつかれていたので、仕方ないこととは言えまさかこうも良いところに引くとは、妙な感心もしていた。
「まえも誰も気付かなかった隠れメインストーリー引いてたしね」
クリス君の変な引きには、ある意味運営としては大助かりであった。
「僕としてはもう少しあの世界を楽しみたかったけどね~、悲しいことに正社員になるからもう運営側なのよね~」
しみじみと人使いの荒い上に今から灰色のエンジニア人生が見えた気がして、思わずため息しかでないキイロであった。
「さあ~て、もう少し頑張りますかね~。今月の17日には第7陣のリリースが迫ってるし。妹はミニイベントのバグ探し作業してるのかな~」
今や本社勤務のため卒業前にアメリカに渡って、今は一人暮らしをしているキイロにとって、日本でアルバイトプレイヤーが出来る。元クランパーティーメンバーが羨ましい気持ちもあった。
「ああ~、でも特定のプレイヤー※でコメしたのは不味かったかな~、はぁ~、一応上に聞かないとね」
悲しいことに社畜になったキイロに自分勝手な行動と見なされれば始末書とか書かされる身分になったので、ここは小さな事でも報連相は基本的にやる必要があった。
「うし!、やるか」
こうしてプレイヤーの為に様々な裏方が、24時間動いていたりする。
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『東京某所、北条家』
★北条兼光視点
久方ぶりに時間を作って屋敷に戻った。
ここの所、VRゲーム事業が当たって忙しく働かされていたが・・・、
「あなたお帰りなさいませ」
「ああ、世話をかける」
妻の香住には随分と苦労をかけてしまった・・・、
「二人の様子はどうだった?」
心配はあった。あの事故によって乳母と運転手が死んでいた。
あの二人がクッションとなって命こそ助かったのだが・・・、
神は時として無情である。
「・・・あの子、楽しそうに話してくれました」
うっすらと涙ぐむ妻の頬に涙が流れていた。
「そうか・・・、そうか!」
少なくとも無駄ではないそう思えただけ、心の臓がポカポカと温かみを感じるから不思議であった。
少なくともモンスター・イン・エンドアースを開発したこと、無駄ではなかったようだ。
深く、ただ深くため息を吐いていた。