閑話・大役を与えられたクロエは身震いしていた
『クリスタル商会デパート本店』
★クロエ視点
商会長のクリス様から急ぎなのか高額な従魔便で手紙が届いた。
「あら珍しいわね~、クリス様ってば私の能力を信じてか殆んど任せてくれるのは嬉しいんだけど、乗っ取りとか怖く無いのかしら?」
逆に心配になるほどクロエはクリスの思い切りの良さに呆れていいのか、信頼されて喜んで良いのか悩まし所である。
「まあ~、わたくしがそんな無作法なことしませんけどね」
ややツンデレ傾向にはあるようだ。最近ではクロエを取り込もうとこの国の大商会、貴族があの手この手で来ようとしてもクリスが専属冒険者にした【星の女神】Bランクパーティーが護衛に付けられているため、そうそうクロエの身が危うくなることもない。
さらに元スペクターの傭兵が裏方にいるので荒事も問題としない戦力を備えていたりする。
『クロエへ、ワイゲン公爵閣下への手土産に1日デパートをワイゲン公爵令嬢サニアお嬢様のためにおやすみにしてほしい。それから例の鉱石の事がワイゲン公爵閣下に告げたこと、お金を預かったこと、意味は分かると思うが、お嬢様の買い物代金は全て僕の資産から引いとくようにお願いね。クリス』
「・・・・・・・はあ~、また上手く纏めましたね商会長は」
前回、ワイゲン公爵をやり込めたことのお詫びも込めてのことであろうか?、
さらに先の内戦でワイゲン公爵家は火の車であることは、擦るべきであった。
そこで確実に儲けが期待できる先物でミスリル、属性金属を輸入しているのは、値上がりが分かっているからだ。
この大陸最大のミスリル産出国はドワーフ王国である。
鉱山の枯渇はまさにドワーフ王国にとって大問題であるためミスリル、属性金属、聖銀、聖金等希少金属を輸入し始めていた。
輸入したそれらを武器、武具にして輸出して外貨を稼いでるがそれもミスリル、属性金属が値上がりしていけば厳しいことになるのは目に見えていた。
予想よりもワイゲン公爵家が早く動いているが、クリスタル商会としては多少ワイゲン公爵令嬢に買い物してもらって恩を返すことは、クロエから見ても安上がりに纏めたと感心した内容であった。
「それにしても、ここでもわたくしに大きな仕事を任せますか?、全く仕方ないですわね~」
仕方なさそうに言いつつも嬉しそうに微笑むクロエであった。