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凄腕マネージャーの最後のお仕事





 間も無く警察が到着した。


 関係者に話を聞かれるのは勿論だが、こうした突発的な誘拐事件に日本の警察は弱い。 



★蔦谷マネージャー視点




 たっ、大変なことになってしまった。

うっ、うちの大切な所属タレントである日向優美、アイドルのアッキー、シルルの三人が東京秋冬コレクションで誘拐されてしまったのだ。

 どっ、どうしたら良いんだ!。


「少しよろしいでしょうか」

「ん?、君は」

「はい、『セレナ』の専属マネージャーの方城栗栖と申します」

「くっ、栗栖さん!、うちの、うちのゆうみが」

「蔦谷さん、今回大変でしたね。でもご安心くださいね。あっ、警察の上の方おられますか?」


 にこやかに笑いながら鋭い眼差しを刑事に向けていた。


「君は・・・」

「いえ、我々の業界ではこうした事件が起こることは日常茶飯事でして、きちんと情報を集めとくのもマネージャーの仕事なんですよ。なのでまずはこちらをご覧くださいね」


 栗栖さんはタブレットを出して、会場の搬入口のワンボックスカーが凄い勢いで停車するところから、黒づくめの目出し帽を被った犯行グループがバッチリと動画撮影されていた。


「こっ、これは・・・」

「それからこのワンボックスにGPSを付けてありますのでこのままタブレットを渡しますね。ここをワイプすると今犯人がどこに向かっているか分かります」

「こっ、これは・・・」

「一応、蔦谷さんには伝えてあったのですが、僕の所属事務所ではもしかしたらの可能性で、誘拐が起こると思ってたのでお伝えしましたよね?」


 栗栖さんの鋭い眼差しに全身から血の気が引いていた。


「まあ~、いいです。それから彼女達の衣装にも念のためGPSを仕込んでますので、車を捨てても追跡可能です。それからこちらのプロモーターからの情報で、犯人グループの行く先もある程度分かってますので、そちらもお使い下さい」


 栗栖マネージャーの落ち着いて、淡々とした姿勢に警察官達まで驚きの顔をしていた。


「あっ、惚けてる時間ありませんよ~、こいつら非合法の人身売買組織の連中らしいので急いで下さいね~」

「ごっ、ご協力ありがとうございました!」


 刑事、その場にいた警察官が揃って敬礼していた。


「いえ、この程度はうちの『セレナ』を守るのに当たり前のことです。それでは皆さん彼女たちのことお願いいたします」


 軽く一礼して、側にいた刑事にタブレットを渡していた。


「・・・・あっ、あれが凄腕マネージャー栗栖さん」

「おおし!、ここまで民間人にされたんだ直ちに上に報告しろ」

「了解!」


 なんだか慌ただしくなった現場に先ほどまであった悲痛な気配が消えていた。


「・・・栗栖さん、ありがとうございました」


 蔦谷は深々と立ち去った栗栖マネージャーの背に頭を下げていた。









━━━━━━━━━━━━





 その日の夕方に、日本の優秀な警察組織によって東京秋冬コレクションで誘拐された日向優美、アイドルのアッキー、シルルの三人は無事に助け出された事がニュースになっていた。


『あらあらお手柄ね。敏腕マネージャーさん』

「はいはい、セレナ姉さんは何が食べたいのかな~」


 甘えた声音のセレナ姉さんのからかうような声に肩をすくめて答える。


『ふう~ん、つまんないの~それより、高校卒業したら私の正式なマネージャーやりなさい』

「遠慮します。僕は地元の大学か京大に入って公務員になるので」

『ええ~!、そんなのつまんないのに~』


 ブーブー文句たれる姉さんの口に、ローストビーフにトリフのスライス、キャビアをほんのり乗せ、玉ねぎとオレンジのジュレソースで味付けをしたのを放り込む。


『( -_・)?んんん、美味しい・・・♪』

「はい、姉さん」

『ありがとう~♪』


 シャンパンを渡すと蕩けるような笑みを浮かべて、シャンパンを流し込む。

やれやれ僕のバイトもようやく終わりそうです。


これで1日7500が安いのか高いのか僕には分からないけど、毎回こんな感じでは、身が持たないのでルシアーナさんには文句を言わなくては、


 こうして栗栖の平凡なバイトは終わりを迎えたのであった。







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― 新着の感想 ―
[一言] 欠片も平凡は無いw そうか、普段からこんな非日常にさらされ続けたが故に普通の感性さんは旅に出てしまったのね…(遠い目
[一言] 何処が平凡だ! と、突っ込んでおこう
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