悪意の襲撃2
★日向優美視点
昨日、マネージャーのお陰様であの『セレナ』の凄腕マネージャーが1日私達に付いてくれた。
それは頂を目指す私にとって物凄く勉強になった1日だったわ、
『セレナ』はあんな凄いマネージャーを惜しげもなく貸してくれたのだものきっと素晴らしいモデルに違いない。
噂なんて宛にならないのかも、
『間も無く時間になります!』
「はい!」
ようやくスタートラインに立ったのだ。全身で楽しんで来なきゃ!。
私達三人は、普段倉庫として使われている場所から表舞台に向かって歩き出した。
「栗栖さん、見ててくれるかな~」
「フフフフ~ン、成長した私達を見て驚かせるんだし!」
変わったと言えば、この二人の意識がプロになったことね。
もしも栗栖さんがこの二人をプロデュースしたらきっと素晴らしいことになるかも、そう思わせるほど変わっていた。
でもね。貴女達にはこの世界では負けないから、いずれ栗栖さんにまたプロデュースしてもらえるようなプロのモデルになって見せるわ!。
こうして日向優美と言う、モデル界に新しい原石が産声を上げようともがいていた。
ただ・・・
そこに悪意がなければ、羽ばたけたであろうが、
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【15:59】
『時間だ』
『ああ、30秒後に日本人達が出る』
『了解、こちら準備OKだ』
『車で待機中』
『各自、しくじるなよ』
『へっ、日本人の誘拐なんて楽で金になる仕事は無いからな』
『違いない!』
アラブ系の男達は、黒の目出し帽を被りリーダーが起爆スイッチを押した。
『ミッション開始』
そして、犯罪組織の実行犯達は動き出した。
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ブランドの秋冬コレクションも大詰め、おおむね好評を泊している。
流石に本場パリコレほどは望めないが東京秋冬コレクションは成功したも同然である。
後は、日本人枠に有名アイドルと日本人モデルのゲストの時間である。
『今回は、栗栖君が付いてくれたようだね』
世界有数のデザイナーチーフは、ブランドのオーナーに『はい』
『フフフフ、彼は面白い少年だよね~、出来ればこのまま此方の世界で働いて貰いたいものだ』
『そうですね。しかし良かったのですか?、あの子達これから怖い目に合うのでしょう?』
『フフフフ問題あるまい、万一日本人に何かしらあってもそれは向こうの甘さのせいである』
『確かに・・・』
『もっとも、彼がどう動くかで言い感じに終わる気がするがね』
『はっ、はあ~』
ドン!
いきなり何かが爆発した鈍い音が響くと幾つかの照明器具がランウェイに落下した。
『おやおや、今回はずいぶんと乱暴な誘拐犯だね~』
流石は世界有数のブランドを一代で築いた大富豪は、眉を潜めるだけで嘆息していた。
突然のことに、当たりは大混乱となっていた。
ゆうみ「なっ、なんなの」
アッキー「やっ、やだー!」
シルル「なっ、なんなの!、怖いよ」
こうした突発的な事後に日本人のモデル、アイドル、タレントは弱い。
いや日本が平和過ぎて事件に巻き込まれるとは考えていないのだろうか、
「キャアアアア!?」
「えっ、なっ、なによ!」
「ちょ、ちょ!」
いきなり目出し帽被った男達に口を押さえられ、三人は暴れた何が起こってるのか理解出来ないのだ。
「だから言ったのに・・・、はあ~、仕方ないよね」
栗栖は片目だけ明けて、男達の様子をしっかりみていた。
一人、搬入口から出た栗栖は、最低限持っておいたGPS付きの発振器が撃てるハンドガンを手に男達が出て来るのを待つ、間も無く凄まじいスピードでワンボックスが搬入口の前に止まった瞬間。
パシュ
見事、GPSをワンボックスに当てた。
「最低限の仕事は終わったかな~」
ここから先は警察の仕事である。用意していたタブレットを開くときちんとGPSが起動してるの確認して、黒づくめの男達が出て来るのをそのタブレットで撮影しながら走り出すのを見送った。