凄腕マネージャー栗栖のマネージメント2
一通り挨拶周りをしたあと、蔦谷さんを連れて非常口、避難経路の確認をさせる。
「ええ~と栗栖さんこれはどういった意味が・・・」
「蔦谷さん、モデル、タレントは会社の大切な商品です。いつ何時なにが起こるか分かりません、発表会でテロリストの襲撃があったり、海外の誘拐組織が動いたりして大丈夫な商品を奪いに来たりすることもあるんですよ~」
いやいやいやいやいやまさか~、ここは日本ですよ~?、そんなこと普通あり得ませんよ。
「・・・だといいですね~、僕は『セレナ』が三回ほど誘拐未遂を防いだことがあるので、このくらいは普通に考えて置かなければ、あののほほ~んとしてた彼女たち、あっさり誘拐されますね~、明日のよるには海外の奴隷市で売られてますよ?」
「いっ、いやだな~、栗栖さん、冗談ですよね?」
「・・・さて、そろそろ足湯が終わり頃ですね~」
「えっ、栗栖さん?、ちょ、ちょっと冗談ですよね栗栖さん!」
何事もなかったように奥の倉庫に戻る栗栖に、なんだか嫌な予感を覚えた蔦谷マネージャーは慌てて追いかけるのであった。
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それから問題なくみんなの衣装合わせ、ランウェイの観覧、ゲスト出演する順番の確認等最低限の打ち合わせを行った。
いや~流石はあの『セレナ』の凄腕マネージャーである。
英語、スペイン語等使ってスタッフと緻密な打ち合わせをすることができた。
外タレの大手事務所社長ルシアーナさんにお願いして本当に良かった。
今回のことはうちのゆうみは無論、
甘ったれた考えだったアイドルの二人もどこか違っていた。
「栗栖さん!、今日はありがとうございます」
「いえ、お役に立てたようでなにより明日はあの倉庫を上手く使って疲れが出ないように」
「はい!、栗栖さんありがとうございました」
「「ありがとうございました!?」」
朝までの彼女達からは考えられないほど、栗栖さんに対する姿勢が良くなっているのが分かる。
もしも彼女達がこのまま変わっていけばおお化けするかも知れないなと予感させるほどの変化であった。
「申し訳ありませんが、僕は『セレナ』の専属に戻ります。その前に一言、貴女達がそのままの姿勢で上を目指すなら人よりもほんの少しでも努力してください。それがきっと貴女達を美しく輝かせてくれますから」
「「「はい!」」」
物凄く重みのある言葉であった。若く見える栗栖さんだがきっとこの業界で苦労したに違いない、俺もゆうみのマネージャーとして、いや社員の一人として栗栖さんを見習うところが沢山あった素晴らしい1日であった。
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なんだかずいぶんと偉そうなこと言って締まったな~。
はあ~、きっと僕が彼女達とそう年齢の変わらない高校生だとはバレずに終わったようで何より、
「はあ~、姉さんのお世話に戻るかな~」
モデル業界で凄腕マネージャーとか呼ばれていることを栗栖は知らない。勿論セレナも教えないし、 セレナの友人であるモデル、マネージャーも箝口令がひかれていたりするのだが、
それを知るのは、事件の後になる。