凄腕マネージャー栗栖のマネージメント
『東京某所・控え室』
四人が案内されたのは倉庫として使われていた会場の奥であった。
見るからに薄暗い裏側の場所に三人の控え室はあった。
「まず。ここが貴女達の控え室になります」
「こんな場所がですか?」
「はい、何せ遅刻されたことが一つ、まだなんの実績が無いことが一つ、言語が拙すぎてスタッフとの意志疎通が僕を通さないと出来ないことから、下手に一流モデル達のあの場所にいたらその子達が壊れますからこの場所にしましたひとまず安全を優先しました」
「なっ、なるほど」
「「「・・・・・・」」」
物凄く不穏なワードが次々に出てきてうちのゆうみ含めた三人の顔色が悪くなっていた。
「中にどうぞ、最低限の準備は整えてあります」
栗栖さんに促され私たちが倉庫に入るとそこには、きちんとしたスペースが作られていて唖然としていた。
「くっ、栗栖さんこれが最低限ですか?」
「はい、うちの『セレナ』他一流モデルにはこのくらい用意できて最低限ですね。昨日急遽だったのでこの程度しか準備出ませんでしたが」
「いっ、いやいやいやいやいや」
凄腕マネージャーってパナイです。
「うわあ~、凄い」
「これをうちらが着るんですね~」
「はい、皆さんはまだどのブランドとも契約してないので、うちの『セレナ』が使わない品でまとめて用意しました。仕事が終わったら好きな物をお持ち帰りして頂いて構いません」
「まっ、マネージャー!、本当に」
「ええ、貴女はアッキーさんでしたね」
「はっ、はい!」
「うちの『セレナ』は厳しいですがまだモデルの世界に入ったばかりの子には優しいのでこれくらいはしてますよ。蔦谷さん足湯の用意するのでお手伝いをお願いいたします、三人は足湯に10分ほど入ってもらい足のむくみをとってから衣装合わせをします。そちらに座って靴を脱いで下さいね」
「「「はっ、はい」」」
三人ように用意されたアウトドア用の椅子に座った瞬間。
「ふわぁ~、凄いよ~この椅子」
「はあ~、凄い楽」
「本当ですね~」
すっかり凄腕マネージャー栗栖さんの圧力に萎縮していたけれど、ここまでしっかりと準備されていれば、奥の倉庫とてしっかりした控え室となっていた。
それからほどなく足湯に浸かるとえもゆえぬ心地良さに足の疲れが取れて行くようだった。
三人が緊張から解き放たれてる合間に蔦谷を連れて、プロモーターとの挨拶まわりを行い。他のモデルのマネージメントするスタッフと顔合わせさせてもらえた。
『お~栗栖、女王様はご機嫌斜めだけど聞いてるよ、殻の付いてるヒヨコのマネージャーやらされてるんだってな』
『まあね。これもルシアーナさんからのお願いだからセレナも無下に出来ないからね~、彼等には頑張ってもらいたいね』
『クフフフフ、流石は凄腕マネージャー栗栖だわ~、したの育成も考えてるのか?』
『そんな分けないだろ、姉さんのご機嫌を取るのか後々大変だよ』
肩を竦めて笑う栗栖にあの気難しい演出家、ブランドのデザイナー、CEO達とにこやかに談笑していた。
「蔦谷さん、こちらが出番の段取りになります。モデルのランウェイの観覧もお願いしたので、彼女達に一流モデルのランウェイを側で見て勉強させましょうか」
「はっ、はい!、栗栖さんありがとうございます」
蔦谷、いや!、一流モデルを目指すゆうみにとって、物凄く勉強になるのは間違いないのだ。
こちらから頭を下げてお願いしても普通なら、けんもほろほほである。
それを談笑のついでに取り付けるのだから、
流石は一流モデルの凄腕マネージャーだと感心していた。