カリスマモデルと通訳なマネージャー栗栖
『東京某所・会場』
★日向優美17視点
東京ガールズコレクションとは桁違いな大きな箱で行われる今回の発表会は、優美にとってティーンのカリスマからの脱却と、プロのモデルとしての登竜門である。
秋冬コレクションの発表会の場であった。
優美はテレビのバラエティーは勿論、人気のドラマで主役をやって来た実力派である。
ただ本人はプロのモデルとしてパリコレに出たいと夢見るティーンでしかない。
今回は日本の人気ティーンと言うことでブランド側が、大人の対応をしたに過ぎない。
そう日向優美には決定的に足りないものがあったのだ。
「・・・・・・あっ」
語学力である。こうした海外のプロモーターが主催するイベントでは多国籍な坩堝とかすカオス空間である。日向程度の語学力では馬鹿にされても文句は言えないのであった。
「ゆっ、ゆうみちゃんなっ、なんとかプロモーターと話して日本語の分かる人を付けて貰えることになったから」
「・・・・・はい、ありがとうございます・・・」
日向優美は飲まれていた。優美の他に数人のアイドルがゲストとして呼ばれている形であるが、みんな萎縮して固まっているだけでおろおろしていた。
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ようやく姉さんの仕事が終わって一通り片付けもおわらせていると。
『はあ?、何を言ってるのかしらあの子は私の専属なのよそれを1日貸して欲しいと言うのかしら?』
平穏なバイトも終わりかと思ってたんだけどね~。どうやら厄介ごとが発生したようだ。
「おっ、お怒りはごもっともです、ですがどうかセレナさんのマネージャーを1日お貸しくださいお願いいたします!」
なんだか雲行きが怪しくなってきたようだ。
彼の拙い説明によれば日本のモデル、アイドルグループのメンバー二人が、今回ゲスト出演することになっていた。
そこまではいいのだが、英語が拙く自分たちで細かいオーダーもスタッフに出せない体たらくらしい。
『それが何かしら?、私と何の関係があって』
「ええと・・・」
ようするに一流モデルのセレナ姉さんのマネージャーが日本人だと誰からか聞いて、それなら交渉で何とかそんな所かな?、でもそれは流石に虫が良すぎるよね~。
流石に僕でもアホだな~、くらいは理解できた。
お怒りの姉さんの元に一通の電話が鳴った。
『はい、ルシアーナ?、ええ、へえ~、そう、ええ・・・・・、はあ?、ええ、はあ~仕方ないわね~1日だけよ』
どうやら僕は1日レンタルマネージャーとして日本のモデルだか、アイドルのお世話をしなくてはならないようだった。
「はあ~、面倒臭い」
特に日本人のモデルほど面倒な存在はない、何よりアイドルって。
「・・・無いわ」
最悪な仕事である。