僕はセレナ姉さんのマネージャーですかね?3
『東京某所・会場内』
「すいません出演者のセレナのマネージャーの栗栖と申しますが、セレナの控え室、衣装スペースは何処になりますか?」
スタッフルームの入り口でルシアーナさんの会社から僕用に貰ってる名刺を出して訪ねる。
「はい、少々お待ち下さい!」
バタバタと明日の夜に行われる秋冬物のデザイン発表会が行われるので、会場作りや衣装の搬入でバタバタしていた。
まず僕がすることはモデルが休めるスペースを確保すること、化粧、衣装がきちんと用意されてるかの確認、その他姉さんが安心してくつろげるスペース作りと必要な雑貨の購入と、もしもの時に姉さんを避難させるための避難経路の確認、警備からケイタリングの確認、それから姉さんの秋のスケジュールの把握である。
ようするにモデルの体調管理や食べても良いもの悪いものはなるべくこちらで用意する方が、一流モデルには必要である。
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控え室の確保が出来たので、まずは用意していた。エアー足湯セットを膨らませる。同時に控え室に置いてあるポットにお湯が入ってたので注ぎ40度より少し温かいくらいにして。姉さんが好む薔薇の香油と薄荷油をほんの少し足らして準備完了である。
『姉さん、先に足の疲れを取るから足湯を使って』
『あらありがとう』
嬉しそうにお気に入りのクッション抱えてさっそく椅子において座り、足湯に足を入れた。
『はあ~、栗栖は分かってるわね~』
『ありがとう~、僕は衣装の確保確認と化粧スペースを確保するから少し離れるね』
『はあ~い、ウフフフフ♪』
なんだかんだ姉さんの扱いは慣れてるので、こうして言われる前に何をしてほしいか聞かなくても分かる。
僕はあんまり気にしていないが、モデルは足をキレイに見せるのは無論、来日して仕事するのである。言語が通じないマネージャーを附けられるとそれはかなりのストレスとなるし、初めて会う人間に最初からあれこれ説明するのも結構大変なことだ。
だからある程度稼げてるモデルは自分用のスタッフを雇うわけであるが、日本の仕事は報酬のわりに足りない所が多すぎるのだ。
確かに日本人はおもてなし精神は素晴らしい物だが、それは時と人によってであろう。
「すいません、セレナのマネージャーの栗栖です。衣装の確認と化粧スペースの確保お願いいたします」
「あっ、はい」
それから化粧スペースに素早くそれと分かるバミと他のモデルが横入り出来ないようにしっかりと準備する。まずはセレナ姉さんが使う専用の椅子を組み立てる。
これはアウトドア物だが、ゆったりと座れて足が乗せるための足置き、姉さんの荷物を運び込み幾つか靴を選べれるように小さな下駄箱に六足のヒール、3束のカジュアルタイプ、五足のブーツと夏用の物とふわふわスリッパをセット、さらに化粧水、乳液四種類、小型加湿器、ダイソンのドライヤー、きちんと消毒した櫛とお気に入りの音楽が入ったプレイヤーとDVDをセットする。
それから暇を潰せる雑誌、日本、海外問わずそれから英字経済新聞。それから硬水の確保と冷やさないように小さなテーブルにセット、炭酸水は冷蔵庫に入れておく。それからフルーツチョコの準備、忘れてならないのがドライフルーツ、ナッツ類、上質なオリーブ油等。
「こんなところかな・・・」