何事もフィジカルが最強なのですよ!
準々決勝がスタートして、同盟組むか直ぐにバトルPVPを開始するかは、プレイヤーにもよるようだが、
ベッキー、ヒナタ、ヒタチのグループは、陣地の構築を開始していた。
こうしたサバイバルでの戦いには幾つか基礎がある。
真っ先に戦闘に走るのは下の下である。
最初に同盟を組んでるなら拠点を作って防衛するに適した地を先に見つけて用意したりするのが鉄則である。
それはこの手の試合が長期化することをベッキーがしっていたからだ。
だからまず安全に休憩をとれる場所の確保が最優先事項である。
「それがサバイバルの基本なのです♪」
フンス~鼻息荒く、自信満々なベッキーの説明に二人は素直に感心していた。
「ベッキーちゃん詳しいのね~」
「エヘヘヘ、本家のおじいちゃんからの教えなのですよ~、お兄と従姉の三人で、よく夏休みは門弟さん達と競争したのです~。相手は慣れた大人ばかりで、フィールドは山の中だったので、サバイバルは大変なのです!」
「へっ、へぇ~、なんか凄いのなクリスのところって」
「エヘヘヘ、おじいちゃんのところは400年も道場を営んでるから~、スッゴク生存率の高い方法を真っ先に習うのです!、だから夏休みはよく山籠りとかしたよ~、でもでも楽しかったな~」
「ふう~んなるほど、ようするに今流行りの無人島0円生活みたいなの得意なのね?」
「そうそう、そんなやつただよ~、格闘ありありで、時々襲撃とかあったけどね~、エヘヘヘ♪」
「そっ、そうなんだ(なんだかクリス君のイメージが変わりそうね)」
「・・・(どうりで打たれ強い訳だ)」
幼馴染みの二人は目で会話して、ここはベッキーをリーダーにして、全て任せることにしたようだ。
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レディ・メーカー『おっと早くも三名がカードを奪われた模様、また行くから同盟組にも動きがあります!』
観客の視線はPVPを初手で選ばなかった組を視ていたりする。
サミエル「あらら?、三人は何をしてるのかしら」
クリス「あれは陣地の構築をしてるんですよ姐さん」
「ん???」
可愛らしい見た目のドワーフ幼女が小首を傾げる姿は、なんだか微笑ましいのだが、中身のおおよそ年齢を知ってるクリスは何とか表情を変えないようにしながら、簡潔に方城家で行われるサバイバル鍛練についてかいつまんで説明する。
セリシア「あらま~、現代でそんなこともしてるの~」
驚きですよね~、おじいちゃんは何と戦うつもりで孫達に六道の一つ兵法を教えているのか、
まあ~、現代で言う塹壕とブービートラップの設置である。
回りにあるもので簡単な鳴子、相手をこけさせたりする偽装トラップ、視覚を一時的に見えなくさせる刺激臭の強い物を顔に当てるとか様々な嫌がらせをした上で、自分を囮に落とし穴から、色々と準備するのが陣地の構築である。
「家ではだいたい3日に分けて行われる行事なんですけどね~。中学に上がるまでそれがちょっとおかしいとか知らなくて、周りの人に話せない内容と知りまして・・・」
「・・・なんだか凄いのね。クリス君の強さを理解したわ」
「それは打たれ強くなるわよね~」
それだけ色々やってればちょっとくらいのハプニングとか笑って何とかできてしまいそうに頼もしい訳だと。妙に納得していた。
『(それにしてもクリス君の不思議な引きって、幼少期から大自然と向き合う内に身につけたものかしらね?)』
『(ん~、なんか違うような気がするわ~、あれはある意味何らかの超常的なにかよ)』
『(・・・その線もあり得るわね~、クリス君なら)』
見た目は幼女、中身は老女であるサミエル、セリシアは肩を竦めながらクリス君が語る何と戦うのか分からない技術を覚えてることに戦慄していた。