MVP争奪戦の行方
★センリ視点
結局、僕は参加しなかった。今回のイベントで面白い出会いがあったしわざわざ弱い相手と戦う気にならなかったのも理由だが、
どうも僕としてはそこまでがつがつしたくないって気分が勝ったからで、
決してクリス君が出ないからではないよ。
ちょっと言い訳じみた文言を呟きながら、先ほどの女の犬族の少女の戦いを思いだす。
ジジイ「ふむ、先ほどの女人は小僧の親類かの~、足さばきが同じ流派であろう、それに顔だちが似ておったな」
オバチャン「あらあら確かに鼻筋とかそっくりでしたわね~、お義父さん」
やっぱりそのようだ。
「それにしても、あの娘小僧の親類にしては、かなりの腕よな~」
「・・・・・」
「あらあらそうなんですかお義父さん~?、年齢的にはセンリちゃんと同じくらいに見えましたけね~」
何故かじいちゃんと母さんが嬉しそうなのが気になるが、だがクリス君とは長い付き合いになりそうな気がした。
顔がちょっと熱い気がしたが気のせいだろう。脳裏には何故かあの女の子の顔が離れなかった・・・。
センリ達、大手クランはエンドアース側の運営からも特別扱いされていて、VIPルームが用意されていた。
それと言うのも『明星』『聖騎士団』には土地持ち貴族として扱われているからで、
そこはクリスタル商会とは違うのだが、運営としても本来なら、
クリスタル商会も大手クラン扱いにしたいところだが、人気プレイヤーと人気になりそうなプレイヤー達ばかりでの構成という扱いに気を付けているのもあって、自由にした方が数字が取れそうとか、運営の思惑がうわまっていた結果である。
クリスやメンバーの多くが未成年と言うこともあって、一般プレイヤーとあまり待遇は変えてないのだ。
ジジイ「これは、小僧の親類がこれに参加したら中々面白いことになりそうじゃわい」
オバチャン「あらあら、お義父さん嬉しそうですわね~」
「まあの~、小僧の話では祖父はかなりの使い手のようだ。あの娘をみれば強ち虚勢と言うこともないでの~、あの娘下手をすれば剣五郎クラスの腕をしておるぞ」
「あら、それはすごいですね~」
「じゃの~、娘にしておくのが惜しい程の素質があるの~」
珍しくじいさんが、ベタ褒めである。
「楽しみが増えそうじゃ、ふふふふ」
「僕もクリス君とは長い付き合いになるそんな予感がした」
「そうか、あの小僧も不思議な男であるの~、戦国時代なら一国の大名になってたかもしれぬの~」
「うふふふ、うちのセンリちゃんのお友達ですものきっとよい出会いですわね~」
「ふふふははははは、文香さんには敵わんの~」
知らない処で、クリスとベッキーは目をつけられているようであった。