イベント13日目
一方その頃・・・。
ナイトゴーレムを倒した第一騎士団と賞金稼ぎクラン含めた傭兵達や多くのプレイヤー達が、どどうと王城に突入していた。
タイチ「野郎ども!、稼ぎ時だぜ」
『『『おおお!?』』』
俄然、賞金の高い王弟と王妃捕縛に燃えているのは何もプレイヤーばかりではない。
『明星』に鍛えられた貴族軍がここにきて合流して次々に突入していくではないか、
タイチ「ちっ、ムカつくが良いタイミングだぜ、遅れるな!」
『『『おおお!?』』』
こうして賞金の争奪戦と貴族軍による手柄争いが勃発したのであった。
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◆同時刻◆
『王城・王座の間』
「こんな・・・、こんな筈では無かった・・・」
「嘘よ!、こっ、こんなことある筈がないわ!」
「ビッチチーノ・・・」
「お父様!、嘘よね、私達が負けるなんて、お父様!」
「・・・うっ、あああ・・・・」
父の野望にギラついてた眼差しが、凡庸に暗く落ち窪んでいた。その眼差しはどこを見ているのか最早定かでないのだ。
侯爵「・・・こんな筈ではなかった・・・」
連日の大敗に、遂に心が壊れしまったのである。
「嘘よ、嘘よ、嘘よ!、こんなの・・・、こんなの嘘よ!」
王座の間に、むなしく元王妃の叫び声が響き渡る。
ヤリーは自分の首に縄が掛けられてる幻覚を幻視していた。
「こんなことがある筈が・・・、あの女は言わなかったではないか」
ぶつぶつとヤリーは呟いていた。
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今、プレイヤー全員が、ヤリーの幼少機の映像を見ていた。
━━17年前のこと・・・
幼少であった頃のヤリーは溌剌とした優しい少年であった。
人に優しく、誰からも愛されるそんな少年であったのだ。
プレイヤー全員が思った。変わりすぎだろと、
それほど今のヤリーと幼少時代のヤリーの顔立ちはあまりにも違っていた。
『時は、残酷なんだな・・・』
『にしても変わりすぎだろ~、運営の悪意を感じるぜ』
そう、今やカマキリに似た風貌に醜悪な表情を浮かべていたヤリーと幼少機とは似てもにつかない変わりようである。
余談であるが、この頃までヤリーは比較的優秀な王弟とする筈であったが、プログラマーの一人の彼女が浮気したらしく荒れに荒れたプログラマーが暴走して生まれたキャラクターであった。
そんな幼少機に怪しげな老婆に洗脳されたヤリーは、変貌していったのである。
『ヒッヒヒヒヒヒヒ、無垢な者ほど愚かになるものじゃ』
鷲鼻の老婆は、醜悪な笑みを浮かべていた。
エンドアースには魔族と称される者はいるが、人間と同じで内部で争う生き物であるため、その力が外に向かうのは希である。
しかし魔人と呼ばれる者は違っていた。
人間やその他の種族に不和の種を植え付けては、その様子を見て楽しむもの達であった。
数は少ないが魔人に狙われた幾つかの国が過去滅んだこともあったようだ。