閑話・私の雇い主
★クロエ視点
はてさてうちの破天荒な雇い主に無茶振りしましたが、せいぜい本店を認めさせれば御の字でしょうかね~。
「それにしても私の目に、狂いは無かったわ!」
普段見ることもない程。上機嫌に艶然と微笑んでいた。
まさかこんな短期間に、貴族にまで上り詰める商人が果たしているのか、
まずいないと言えた。
どれほど幸運に恵まれでもしない限りあり得ない物語。
クロエの雇い主である赤熊族という珍しい存在の商人である青年は、とても面白い人物であった。
「さて、クリス様はどこまで割りきれるのか楽しみでもあるわね」
そう、今回のことでクリスという青年の将来を見据えての無理難題であった。
その結果によって、クリスタル商会の未来が決定されるとも言えた。
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「あっ、お兄さんお帰りなさ~い♪」
デパートと看板にはあったが、なんだか随分とノスタルジー満載だった。
「ええ~・・・」
「うわあ~、これ古文の白黒に載ってたような」
「・・・・・・」
クリス達の眼前に明治から大正に掛けてあったような、着物と洋服のコラボレーションが溢れていた。
「あれってメイドカフェかな~?」
今のようななんちゃてメイドカフェとは違う、いわゆるモダン和風メイドカフェと言うのかな~。
「混んでますね~」
「凄い人だかりだね」
そんな人だかりの中から、うさみみがピョンピョン跳ねていた。
「ウータンただいま」
「はい!」
嬉しそうに小さく手を振りながらその場でくるりと回って見せた。
うん、獣耳にモダン和風メイド服も合うかも、グッジョブです姐さん!。
すらりとしたウータンにとても似合っていた。
僕が親指立てて似合ってると合図送ると、うさみみが嬉しそうにピョコピョコしていた。
「・・・・・・・」
「・・・あの~、姉さんも着てみたら似合ってると思うかさ」
「!?」
あっ、それだ!、見たいな顔をしている。でも大丈夫かな~?、
リオって人見知りじゃないのかな~。
「あっ、クリスさんちょっと姉さんと行ってきます」
「あっ、うん分かった」
あの二人は結局のところ、何しについて来たのかなクリスは内心首を傾げていた。
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さて、最上階にある執務室の中に入ると、クロエその他に女性の従業員がてきぱき動いていた。
「クリス様、お疲れ様でした。それではあちらで詳しいお話をお聞き致しますわ
」
「了解」
クロエは商会長執務室と書かれていた部屋の中に入って行った。