クリスタル商会本店と貸し倉庫街をワイゲン公爵からゲット
意気揚々と足早に歩くクリスの後を、戸惑いながらリオ、セオ姉弟が顔を見合せていた。
二人とも理由が分かっていないようだった。
最も、ワイゲン公爵閣下も気付いてなかったようで、こちらを侮って貰えて助かった訳だけど。
(この手は次は使えないからな~)
飛鳥婆ちゃん曰く、交渉ごとにわざわざこちらが不利になる情報をわざわざ与える必要はない。
向こうが勝手にクリスタル商会の持ち物が本店となるデパートだけと勘違いしてくれていたのが大きい。
残念ながらクリスタル商会のこの地での本業は貸倉庫である。
ワイゲン公爵閣下もこの地が、王都の外壁が壊されたことで2つの集落が今や宿場町と変化していることは知っていた。だけど今だから使えた手段かな~、このままイベントが終わればやがてワイゲン公爵も気付くことだろうね。でも言質は取ってる上に書類も正式なの貰っているので、後から文句は着けない。
貴族様は世知辛い職業であるようだ。
さて、ここで問題である。
まだ名前の無い集落1であるが、
この地は王都から半日も掛からずに行ける立地である。
王都だ。あれだけ大きな都に店を持つとやっぱりさ購入するのも税金だって高額になるよね~。
一昔前には、バブルのころなんて銀座の土地一坪で、一億だった時代があったそうだ。
一国の王都ともなると土地の権利を買うだけで高額であるその上に、店によっては在庫の為に店舗以外にも倉庫が必要になるが、それを持つだけで税金等々とお金は掛かる。
そこで問題です!。
王都から半日もしない地に、貸倉庫があればどうするか?。
王都の大きな店を構える商会ほど、うちの貸倉庫を借りてくれる訳だ。
しかも僕は貴族である。
僕もクロエに聞いて初めて知ったんだけど。貴族の土地と認められた本店であるデパートは税金を取られないのだ!。
残念ながら海辺の町ランガ、ワイゲンではそうは行かないけどね~。
でも、貸倉庫も僕の土地と認められた訳だ。それをワイゲン公爵は気付かなかった。はっきり言えばワイゲン公爵の手落ちである。
僕は、そこを突いて、僕の申し出に侮ってしまった。ワイゲン公爵閣下は、後で困ったことになるのだろうけどもね。
僕にはもう関係無いけどね~!。
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『越後&三河屋本店』
「あっ、マップが変わってる」
集落1だったのだが、今では町表記になっていた。まだ名前が無いから村扱いなのかもね~。
「うにゃ~ん!」
ご主人様向かえに来たにゃ~ん!
トタタタタとゴロゴロ喉を鳴らしながらミズリーが飛び込んで来た。
「ただいま~、ミズリー」
「うにゃ~ん・・・」
すっごく大変だったにゃ~ん・・・、
うにゃうにゃとミズリーが愚痴を言うなんて珍しいことだったので、しばらく機嫌が治るまで撫でていたクリスだった。