クリスタル商会会長のお仕事が待っていました
『デパート越後&三河屋』
人の並みに紛れてクリスとベッキー、アンビシャス、その後ろからリオとセオの姉弟がデパートに吸い込まれて行く、
しかし五人は人の流れから外れて『関係者入り口』と書かれた扉をくぐり抜け、まあ~、いわゆる裏方の通路を通って行く。
「うわあ~、クリスさんなんかモルトが沢山居ますね~」
小柄なモルトが、慌ただしく働いていた。しかしその数が尋常では無かったから、アンビシャス君が目を見張っていた。
「確かに・・・・」
「えへへへ~。凄いでしょ~、300人も雇っているんだよ~」
「それは凄いな~」
「うん!、みんな可愛くてね~、がんばり屋なの~、えへへへ♪」
どうやらモルトはベッキーにとってお気に入りなようだ。
「ベッキー様~、お帰り~」
『『『お帰り~なさ~い』』』
「みんな~、ただいま~♪」
なんだかモルトも妹に懐いてるようだ。モコモコしてるのがわちゃわちゃしてるのも、なんだか微笑ましい絵である。
「あっ、商会長なのだ~、おはよー商会長~」
『『『おはよー商会長~』』』
「おはよー、みんなご苦労様」
『『『あいあいあい!、頑張るのです~、モルムムムムト♪』』』
モコモコわちゃわちゃしてたのが、ご機嫌にフンス~しながら散って行った。
「ああ~!、モルトちゃん達って、可愛くて、健気だよね~」
ベッキーの言葉に、無言でリオも頷いていたりする。どうやら彼女もモルト達に癒されていた口のようで、口元がもにゅもにゅしていた。
クリスはそれを指摘せず、見なかったことにすることにした。
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そのまま沢山のアイテムがところ狭しと在庫として並んでいる様は圧巻である。
その奥にもモルト達がわちゃわちゃしていて、商人が下ろした品物を受け取り検品作業してたり、責任者モルトが商人から受け取った書類に目を通してから、
クロエに渡していた。
クロエ?、なんでこっちにクロエが・・・、
驚き二度見してしまった。
ベッキー「クロエちゃ~ん、お兄帰ってきたよ~!」
また大きな声でクロエを呼んだ。するとクロエははっと振り向いた目が、ギロリと光ったような気がした。
なんだか物凄い肉食獣に狙われた気分である。あっちなみに笑顔なんだけどなぜか身の危険を感じて怖く感じる笑顔であった。
「商会長、お帰りなさいませ」
「あっ、はいただいま」
「ウフフフ、公爵様の命でワイゲンに戻っていたとか?」
「うん、『悪魔の蠍』が内乱起こしそうだったからちょっと『ダルク』の援軍にね」
まさかそんな答えが来るとは思わずクロエの顔が引き締まる。
「それはまた難しい問題でしたわね~、しかし・・・」
じっとりとした眼差しがクリスに突き刺さる。
「取りあえず内乱が終わるまでの時間稼ぎはしといたから、こちらが終わればワイゲンの内乱は防げるよ」
「なるほど、流石ですわね商会長クリス様は」
ニッコリと艶やかに上機嫌に笑っていた。
「そうそうクリス様、こちらのデパートを本店としますので後程公爵様にお許しを頂いて下さいね」
「・・・・・・はあ?」
えええ~と、それが必要なんですかね?。
意味が分からず首を傾げたクリスだった。