『拳王』アンビシャス2
僕とアンビシャス君が『ダルク』の拠点を後にしてから、その勢いで『悪魔の蠍』の支配領域にたった二人で向かった。
端から見たらきっと無謀だと言われるかもね。
でもさ僕はちょっと頭に来ていた。
(いくらゲームのキャラクターだからって・・・)
クリスは不思議な感覚を覚えていた。体の内側からなんだか力が沸いてくるようなそんな感覚だった。
(それに方城の男が、仲間をやられて許せる訳がない!)
クリスは気が付いていなかったが、うっすらとクリスの体から揺らめく闘気が立ち上ぼり始めていた。
━━━━━━━━━━━━
ピクリ
★アンビシャス視線
前を歩くクリスさんから、濃密な闘気が渦巻いて見えた。
神剣『ほ~う、これは凄まじい闘気であるな!』
珍しく神剣が感嘆の声を上げていた。そう、僕の全身の毛が逆立つほどの闘気だった。
「なんだか、今のクリスさんと戦っても勝てない気がするよ」
『・・・ふむ、お前がそこまで言うのか・・・、今回のことあるいは、『悪魔の蠍』というやからは、起こしてはならない何かの尾を踏みつけたようだな・・・』
「うん、僕はそう思うよ」
今のクリスさんは、僕のレベルの半分もない筈だ。それでも僕と本気で戦っても。
最後に立ってるのはクリスさんのような気がする。
きっとこれからの闘いは、僕にとって何かを与えてくれるような・・・。
そんな予感がしていた。
━━━━━━━━━━━━
『悪魔の蠍』
★拠点の一つ
『ぎゃはははははは、あいつら弱すぎだろ』
『だな~、いくらリーダー格が居ないからって三大ギャングの一角を名乗るなんて10年早いぜ』
『でもヨシュア様も女達を拐わせてくれればいいのによ~』
『だよな~、ダルクの女は良い女が多かったんだぜ?、騎士だってたまには羽目を外したいぜ』
『お前は、下半身を露出したいだけだろ~』
『ぎゃはははははは!、あのおっぱいのデカイ女にぶっかけるのか?』
『おうよ!、俺様のデュランダルでな~』
『ゲラゲラゲラゲラゲラ、お前のは短剣だろ!』
『へん!、立てばデカイんだよ』
なんだか随分と粗野な会話である。サニアお嬢様の話ではここは正騎士の駐屯地の筈である。
しかし聞こえる話は、何処にでもいる酔っぱらいの戯言にしか聞こえない。
大丈夫か?、正騎士なのに。
『クリスさん、彼等は正騎士と言っても侯爵様がお金で国から買った爵位らしく、抱えてる貴族の次男、三男に与えてるだけですよ』
意外な情報にクリスは驚いていた。




