閑話・頭を抱えた運営です。
イベント開始間も無くであった。
内乱イベントでバグが起こったとの報告を受けたのだ。
勿論、慌てたのは開発部のメインストリー担当主任の高柳である。
それも仕方ないことだろうか、本来隠しメインストリーが発動するのは、エンドアースの世界の1/3を巡って、見付けられるか?、の確率だったのだから、
『覇王の目覚め』
裏メインストリーは、各大陸にある裏の世界でのしあがりることが条件の一つであった。
今回の場合、西城ワイゲンの三大ギャングの一角にのしあがったプレイヤーがいたので、もしもの為に気を付けていたのだ。
何せそれをやってしまったプレイヤーは、本来ならクリア出来ないレベルで、クリアしてしまったのであった。しかも人気プレイヤーとして運営からフルダイブのVR機のモニターに選ばれていた。
その他の条件だが、
王家、公爵家に認められた者。貴族階級に叙任された者だけがまれに見付けられるイベントであるのだが・・・
高柳「マジかよ。こんな早々に条件満たすプレイヤーがいるとはな~」
ガリガリ頭を掻いていた。
高柳こそゲームクリエーターの中でも『火消し屋』と呼ばれる有名人でありエンドアースの産みの親の1人であったが、これは完全に予想外のことだ。
普通イベント期間中には該当したとしても隠しメインストリーが始まることはないように設計していたからだ。
「あっ、主任!、分かりましたよ!。これバグじゃなくて完全にこっちの落ち度でした」
ちょうど高柳が顔を出した途端に、複数の数字の羅列みていた1人がそんなこと言い出して、高柳他、プログラマーの面々の手が止まっていた。
「・・・・そいつはどういうことだ?」
「はい、これは間違いなくイベントの系譜だったからですよ」
「イベント?、内乱のか」
現在やっているイベントは内乱イベントだけである。
「そうなんですよ~。これ見てください」
ヨシュア・ハーマン
ハーマン子爵家三男、侯爵家の分家、王妃ビッチチーノの甥。
高柳「マジか・・・」
嫌な汗が流れていた。極端な話『悪魔の蠍』の面々は今の上位プレイヤーでは手に余る相手であった。
それがこちらの隙を突くようにAIが動いてたことに高柳も驚いていた。
「そいつはまた・・・」
「それから主任、あのクリス君が『拳王』連れて西城にいますよ」
今度こそ高柳含めた面々がぎょっとした顔をしていた。
「それはまた・・・、ここまでくると天然の悪運と言うか、視聴者は大喜びしそうな組み合わせだな~」
「はい、なのでクリスタル商会のメンバーはクリス組と幼女二名に分けてますが、どちらも人気ですね」
「・・・だろうな~」
『越後&三河屋』では、幼女達がまた珍しいお店をやり始めてるわ。
犬耳、猫耳、ウサミミ美少女達が元気に働いてる姿が非常に人気である。
普通ならクリスと『拳王』アンビシャスの男二人がワイゲンに戻ってのなら人気にはならないだろうが、精悍な顔立ちのアンビシャスとベビーフェイスの赤熊族の青年クリスの組み合わせは、
まあ~、そっち系のお姉さん達に人気であった。
「クリス君も大変だな~」
「まあ~、こっちでコンプライアンスしてますのでクリス君は知らないのがいいことなのか謎ですがね~」
「そうだな~、上も未成年のキャラクターになんちゅうもん許可してるんだか・・・」
一部のお姉さん方が大好物な腐の世界の主役にクリスが遣われていたりするが20歳以上の女性限定有料サイトのみ閲覧可能という制限があるので、
まだ高柳達男性プログラマーも見なかったことにしていた。
「この分なら、内乱がおかしなことになることもないか」
ヨシュア・ハーマンに勝てるのは王の称号を持つ者だけである。




