続・クリスは何でも屋
★『ワイゲン公爵』視点
まさか足元でそのような事が起こっているとはな・・・、
まさかと思うが、近隣諸国が動いてるのではと勘ぐりたくもなる。
「クリスか・・・、最初は商人としてあったのだったが、娘の我が儘で名誉騎士となり、冒険者のクランマスターをしながら、我が足元で蠢いていた三大ギャングの一つを潰して新たな勢力を作り出したか、これだけ並べるも中々の人物であるが、此度の我が国への献身は王に好感と一定の信頼を持たれた筈だ。なんと言うやつなのであろうか・・・」
本人に言えば迷惑そうな顔をするか、嫌がりそうである。しかしとも思ってしまう、
「その昔、王の称号を持った者が集い古代竜を撃退した伝説があったな・・・」
青古代竜の伝説。
「流石にあのような英雄とは行かんだろうが、つい頼りたくなるのだよ。クリス・・・。不思議な男よな~」
なんとも公爵様からも多大な期待を受けるクリスは、イベント中なのにイベントとは関係ないクエストを受けることになりそうな感じであった。
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《エンドアース管理室》
急にアラートが鳴ったから何事かと思ったら、隠しメインストリーが開始されたとログが流れてるではないか、まさかと慌ててデータを呼び出してみて頭を抱えることになっていた。
「うそだろ~、本来あり得ないバグだぞこれ・・・」
しかもイベント期間中と言う最悪なタイミングに起きてしまった出来事となる。
最悪なことに内戦に絡んで来てしまうことが予想されるから、これは上に急いで連絡しなくてはならない事案である。
慌てて上に報告を入れていた。
そうこうしてる内に、プレイヤーの一人が、ワイゲン公爵の命によってイベント中にも関わらず。
バグの影響での隠しメインストリーに参加することに生ったのだが・・・、
その事をクリスはまだ知らない。
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『何でも屋クリス君?』
控え室で一休みしていた僕とアンビシャス君を公爵様が呼んでいたらしい。
やはり何かしらワイゲンで起こったようだ。
果たして何が起きているのやら・・・。
ワイゲン公爵「済まないねこう何度も・・・」
「いえ、僕に出来ることであればやらせて下さい。公爵様やサニアお嬢様のために僕程度でお役にたてるか分かりませんが」
「そうか、そういって貰えると申し訳無く思うが、我としては感謝する他ない、その方が理解しておるか分からぬが我が領地で反乱が起きようとしておるのだ」
「それはまさか・・・」
苦々しい表情のワイゲン公爵であった。
クリスも気付いたのだ。
現在の西城ワイゲンが手薄であることに。
「噂の『悪魔の蠍』まさか『オイデヤス』ですか?」
「娘からの報告でわかったのだが『悪魔の蠍』が闇ギルドと手を繋いでいたとハナとレティが知らせてくれたのだ」
「こんな時に・・・」
「嫌、こんな時だからこそだろうな」
皮肉な話であろうな、まさか足元でも揺らいでいたことに気付かなかったワイゲン公爵の落ち度であった。
「公爵閣下、僕がワイゲンに戻って『ダルク』を動かしましょう」
「済まぬなクリスよ。我が娘を民を頼んだぞ!」
「はっ、おまかせ下さいませ」
『隠しメインストリー西城ワイゲンを救え』
テロップが流れたが、どうも何時もと違っていた。
「クリスさん!、僕も一緒に行きます」
こうしてクリスとアンビシャス君の二人だけの隠しメインストリーが始まろうとしていた。