閑話・ライバル
【センリ】
★『山中ヤマト』視点
クラン明星のメンバーは総勢200名近くいた。
この場に生産系プレイヤーはいないが、戦闘職53名魔法職26名回復職12名護衛職6名、総勢107名を引き連れての参戦である。
クラマスのセンリを先頭に部隊長のアリス・リリステ、ルステンテン、幹部の剣五郎、まーるちゃん、オバチャンが続く。
最後方に、着流しに一本の刀を腰に差す初老の人物が、鋭い眼光を辺りに向けていた。
(流石にあれとまともにやれば負けるな~)
ゲームの中で、冷や汗をかいた【最強】こと『海原道三』であった。
一方で、センリはチラリ【最強】を見たが、不思議なことにすっと目を細めただけで、すぐに前を向いていた。
ここにきて【最強】N・ライチ・アーチボルトも首をかしげる。
(不思議だ・・・、)
あれほど負けて悔しかった相手が側にいるのに。以前のような怒りも焦燥感も感じない。
ただセンリの勘があそこにいる。そう感じていた。
高鳴る胸と高揚する気持ち、自分の方が遥かに強いと理解している。
だが、あれは違うと感じる不思議な確信があった。
ジジイ「ほほ~う、彼処になにやら強い存在感を感じるのぉ~、センリあれか?」
「はい」
「クフフフフフフ・・・、そうか、そうか、これは面白いことになる予感がするわい、この歳になって高揚しておるぞ」
「ジジイ、あれは俺のだやらんぞ」
「クフフフフフフ、分かっておるわ、孫のライバルは取らんよ」
センリ「・・・ライバル?、あっ、そうか、ライバルか」
ストンと何が府に落ちた。そうセンリはクリスを気にしていた。自分の方が遥かに強いと理解しているのに、
年が近いからかと思った。母が友達だからと言われたのでそうかと思ったけど違うとようやく理解した。
「ジジイ・・・、俺、負けたくないや」
「クフフフフフフ、そうか、そうか・・・」
楽しげにジジイは目を細め不敵に笑う。
「競い合え、そして勝て!、それでこそライバルよ」
「・・・うん!」
センリは、静かに戦意を高めていた。
今まで友達もいなかった少年は、友達を得たのだった。
こうしてクリスタル商会主催のレイドが組まれた。
『なっ、なんやこれは・・・、なんや知らんけどさぶいぼ出てきたで』
『何か、格好いいかも』
『なんだか羨ましいぜ』
『『『それだ!?』』』
プレイヤーにとって、大きなレイドに参加出来ることはとても羨ましいことである。
しかも内戦イベント期間中に起きた特殊なレイドである。
視聴してる多くの不参加プレイヤーが後悔したことは言うまでもなかった。