クリス再び王都に潜入です
ヒナタ、ヒタチと合流したクリスは疲れた顔をしていた。
ヒナタ「お疲れ様~、大丈夫~」
「まあ~、なんとかね~」
ヒタチ「しっかし、姐さん達の噂通りだったな~、『クリス君ならまた何かに巻き込まれるから!』、貴方達は何もせず待ってなさいって言われてたんだぜ」
「グフッ、何も言い返せないでござる」
ガックリと肩を落とすクリスに。
二人は朗らかに笑っていた。
僕は、全く姐さん達には敵いませんよ。
それから急ぎ支度を済ませて出掛けようかと思った矢先。
リオ「遅いですわ!」
セオ「・・・待ってました」
リオ・バイナーズとセオ・バイナーズが待っていた。
アンビシャス「・・・・・・・」
アンビシャス君が、何だか怯えていてどうしたのかと首を傾げた。
セオ「あっ、ほら約束ですよ」
セオの言葉ではっとした。
そう言えば・・・
二人にはメールしてなかった。
クリス「リオ良かったら、レイドに参加してくれるかな~」
リオ「いいですわよ!」
食いぎみに返答があった。チラリセオを見たら安堵の溜め息を吐いてペコリと軽く頭をさげていた。
きっと人付き合いが苦手ナンだろうなと納得した。
アンビシャス「サミエルさんに言われてクリスさんの手伝いに行きます!」
聖剣『せっかく憧れのクリス殿のクランに入ったのだ。アンビシャスが張り切っているぞ』
「ちょっと・・・・」
真っ赤になるアンビシャス君であった。
リオ「そちらの『拳王』が、貴方のクランメンバーですって」
(モフモフの美男熊さんだけじゃなくて、精悍な犬耳青年・・・、いい・・・)
やや危ない扉を開きつつリオは、表面上は不機嫌だったけど、内心歓喜にうち震えていた。
(大丈夫かな~姉さん)
もしかしたらちょっと残念臭が漂うリオ・バイナーズに、困惑気味のセオを加え、新しいクランメンバーであるアンビシャス君が加わりパーティーを組んだのだった。
果たして、灰汁の強そうな面子で、無事に済むのかは神様にも分からない難事件であった。
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《エンドアース・海外サーバー内にある酒場》
イリシアル・ルガー・ロス
海外サーバーにて最近有名になってきた【歌姫】であるイシルは、日本で行われている戦争イベントをフルダイブにある酒場で見ていた。
イシル『あら、あの子ってまた何かに巻き込まれるのね~』
涼やかな声音で楽しげに笑うその視線の先にクリスが映っていた。
リッチ『姫様は、すっかりお気に入りだよね~』
『フフフフ、あら焼きもちかしらリッチ君?』
『ちっ、ちがうよ~、シシロクがさっきから撫でて貰えなくてしょんぼりしてるからさ~』
シシロクは、リッチの従魔で森狼から二度の進化をして、白銀狼になっていた。
ちょこんとイシルの膝に頭を乗せていて。
クゥン・・・
もう撫でてくれないの?、円らな瞳に思わずクスクス笑いながら、
『あらごめんなさいね~』
クゥン♪
再び再開されたブラッシングにシシロクの尻尾がブンブン振られる。
イシル『それにしても面白いと思わないかしら、彼はいつの間にか事件に巻き込まれてるんですもの』
『まあ~、見てる分には面白いと思うけど、何だか大変そうだよ~』
そこは面倒なことにか関わりたくない一般的なアメリカ人らしい物言いであった。
『あらそう?、でもああいう友達だったらどうかしら?』
『・・・友達か~、たまになら巻き込まれてもいいかな~』
『でしょ?、だって他の閲覧者も似た気持ちなんでしょうね』
『・・・ああ~、それなら分かるよ~』
普段と違う冒険の旅、思いもよらない事件に巻き込まれて楽しむのもゲームならの楽しみであるのだから。
こうして一部のファン獲得してるクリスは、その事を知るよしも無いことだ。