とりあえず契約したら、国王陛下の無茶振りですか?
いきなりワールドアナウンスが流れた。
『★緊急イベント開催!?、王都にモンスター召喚の魔方陣が展開されました◆
ゲーム時間48時間以内に。王城前に設置された魔方陣を破壊しなければ、レベル100以上のモンスターによる。モンスター侵攻が、開始されます★』
クリス「うん?」
ワイゲン公爵閣下のいる天幕に向かう途中、いきなりのワールドアナウンスに声が出てしまった。
執事「?、どうかなさいましたかクリス殿」
「いえ、虫が飛んできて思わず声が出てしまいました」
「ああ~、ありますね~」
屋敷で普段仕事してる執事さんならではだろうか、共感を得たようだ。
「クリス殿も・・・、虫が?」
「まあ~、得意ではないですね~。特に黒い奴は・・・・」
「分かります。あれたまに飛んで向かってくるんです!」
「ああ~、あれは嫌ですよね~」
掃除とかしてると突然向かってくることがある。
そんなあるあるを話をしながら、大きな天幕に案内されたクリスだった。
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それはまさに青天の霹靂であった。
国王「愚か者が・・・」
最早・・・。
弟たちを生かしておくことも出来なくなったのだ。
王弟ヤリーと王妃ビチーチーノ、それから第二王子ソーローンの処刑が不可欠とあいなった。
ワイゲン公爵は、苦い物を飲み込んだ顔をしていた。
『なんともタイミングが悪いものよな・・・』
心のなかでクリスに謝りつつその時を待った。
執事『旦那様、クリス殿をお連れ致しました』
ワイゲン公爵「入れ!」
「失礼します」
クリスが天幕の中に入るや、体が勝手に動き出して略式であるが騎士の礼をワイゲン公爵と国王にとった。
「ほほ~う、クリスよ。この短期間の間に、我が国の騎士の礼を身に付けたか」
「いえ、お見苦しい所をお見せ致します。まだ見よう見まねに過ぎません」
国王「殊勝であるぞクリスよ」
「有り難き幸せ」
それは見よう見まねにしてはなかなか様になっていた一礼である。
貴族としての勉強はまだまだであるが、戦場の騎士としては十分合格である。
(また勝手に体が動いて・・・)
何だか嫌な予感がしたクリスだった。
そう、プレイヤーの体が勝手に動くのは何かのイベント関連である。
(これ、王都のモンスター侵攻関連だろうか?)
ワイゲン公爵「陛下、さきにクリスタル商会との契約を済ませます」
国王「うむ、済まんが王都を無事取り戻すまで頼むぞ」
「はっ、心得ております」
ここまでは普通だからさっさと終わらせるぞ、ワイゲン公爵閣下の目が雄弁に語っていた。
どうやらクリスの運はステータスと同じく悪い楊だった。




