闇ギルド側のターン
タイチは、闇ギルドの中では中堅層である。
運が良いのかわるいのか、幹部クラスがいない今なら・・・。
「考えることは一緒か?」
「だな~、糞みたいな王弟を殺して」
「あいつら出し抜いて、金を得るぜ!」
こうして、運営の思惑とは違い。一部のプレイヤーが暴走を始めた。
そう第三の勢力が、産声を上げた。
闇ギルドを見限り、プレイヤーキラーPKから、賞金稼ぎギルドが結成されたのであった。
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そんな心変わりする可能性を考えるほど。闇ギルド側のプレイヤー幹部も知るよしもない。
そしてタイチ達は所属していた闇ギルドから情報を頂き、国王軍側にある傭兵ギルドに登録していた。
これにより闇ギルドには裏から国王を一か八か狙うと言い含めた。
まんまとボンクラ幹部から承諾を得たタイチ達は、王国軍の傭兵部隊に紛れ込むことに成功する。
「やったな!」
「ああ~、闇ギルド側からの情報を手土産にしたら、まんまと入り込めたぜ」
「へへへ、これで俺たちの独壇場よ~♪」
そうタイチ達はまんまと王国軍でも、王弟側でも、闇ギルド側でもない。新しい集まりにすることに成功したのだ。
「良し、王国軍からの情報も闇ギルドに流せよ」
「了解だ」
こうしてタイチ達によって歪められた情報が双方に流されることによって、
少なくない混戦に持ち込むことに成功させていくのだった。
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《王弟ヤリー・チーノ・ランベルク》
不味い・・・。不味い。不味い!?
ヤリー「何処に行ったのだ!」
我が可愛い息子は、不味い。非常に不味いことになった。
下手に闇ギルドの者に知られる訳にはいかない!?。
ヤリーの顔色は青白くなっていた。
王国軍側が思った以上に優勢であり、息子を簒奪王に据えた王弟側が劣勢である。
ヤリー「こんな筈じゃ・・・、こんな筈じゃなかった」
ヤリーの目に仄かな狂喜が宿る。
ヤリー「ああ~、そうだ。我が国には封じられた宝物があったはずだ。探せば何かが、きっとあるはずだ・・・、そうに違いない!?」
ランバルト王国の歴史は350年も続いている。中にはいわく付きの品も宝物庫に封じられている。
禁術指定されている危険物もあった。
ヤリー「そうだ・・・、魔物の召喚陣があったな」
ヤリーが思い出したのは、周囲の魔力を集めて勝手に魔物を召喚してしまう危険な代物であった。
しかも一度魔方陣を発動させると止める事が出来ない欠陥品である。
ヤリー「これを使えば時間を稼げるな・・・、ふふふ全ては父上が悪いのだ。私を王にしなかった父上が・・・」
ヤリーの顔は先ほどの青ざめた物ではなく、狂気に彩られた笑みに変貌していた。
そして、ヤリーは王城に迫る騎士団を見て、いぞき足で宝物庫を目指した。




