クリス君はクリス君よね~3
ようやくベッキーの口が止まった。
なんとも言えない気恥ずかしさがあった。
「さすがクリスお兄さんですワン!」
ヒタチ「お前、よくやったよ~」
ヒナタ「子猫、良かったです~、ぐすっ」
ベッキー「もう~、さんちゃんてば、お兄のこと大好きで、いつの間にかお兄の部屋に行ってるんだから、プンプン!」
クリス「お前な~」
いろんな意味で頭を抱えるクリスであった。
セリシア「まあ~、あれね。クリス君の謎の引きの強さがわかった気がしたわ」
サミエル「まさか天然のトレジャーハンターだったとはね~、これはステータスに出ないわけだわ~。なにせ自前のスキルみたいな物だし~」
呆れてるのか、感心されてるのか微妙なラインであった。
セリシア「てなわけで、ここでは」
『『『『『『クリス君は、クリス君だから』』』』』』
「・・・・・・・・・・・・・・もう、いいよ~」
ガックリと肩を落とすクリスだった。
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落ちが付いた所に。ホクホク顔のクロエが、仏頂面のワイゲン公爵の執事を連れて戻ってきていた。
「戻りましたわ~、クリス商会長」
「ご苦労様、その様子だと・・・」
執事「ゴホン、クリス様旦那様がお呼びでございます」
クロエ「商会長、後はこちらにワイゲン公爵閣下からサインをもらって来てくださいね」
「あっ、はい」
どうやら気が重い時間がこれから始まるようだ。
サミエル「まあ~頑張んなさいクリス男爵様、クスクス( *´艸`)」
「姐さん他人事だと思って楽しんでますよね~」
「まあね~、男の子はこうして男として成長するものなのよ。マスター頑張んなさい」
「はあ~い。頑張ってきます」
執事「・・・クリス殿も、女性には、苦労されてるようですな~」
しみじみと実感のこもった呟きに、なんとなくこの人も苦労してるんだろうな、そう感じたクリスだった。
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《闇ギルドサイド》
タイチ「ちっ、まさかあの時の痛い奴がここまでのプレイヤーになるとはな、分からないもんだぜ」
タイチは拳王杯の本選に出ていた闇ギルドの監視役の1人であった。
「リンゴ姉は、恋に生きるとか言い出して翼撃の剣士団長のハーレムの1人になっちまったし、どうするかな~」
不貞腐れたように頭をガリガリとかいて溜め息を吐いていた。
ここのところ闇ギルド、盗賊ギルドの同盟関係が悪化していた。
次々と盗賊ギルドから離脱者が増えていて上も苛立ちがあった。
タイチ「はあ~、闇ギルドも止めどきかね~」
人間プレイにしたため闇ギルドでは上に行くのもなかなかしんどいのだ。
アルサメの奴も良く分からんし潮時かもしれないと。
尻尾を巻いて闇ギルドから抜ける決意をしたタイチだったのだが・・・。
『出入りだ!?』
隠れ家の見張りが血相変えて叫んでいた。
「まじか・・・、しかもあれって」
そう、タイチ達闇ギルドの隠れ家にしていたのは第二騎士団の駐屯地だった。
『聖騎士団だ!、チャージがくるぞ!』
「嘘だろ!?」
『うわぁあああああああああああああああー!?』
『ギァアアアアアアアアアオーウ!?』