閑話・ゲーム内リアルハーレムパーティー
《翼撃の剣士団》
『カガリの事情』
カガリがマスターを勤める翼撃の剣士団の仲間は、何故か26名中。
女の子が24名と言う、かなり偏ったメンバー構成となっていた。
カガリ「アカネ、アカリ」
「「はあ~い」」
双子のように髪色だけ違うし、髪を縛るのも左右対称だが、リアルでは親友で、同じ病院で同じ日に生まれた上に家も隣である。自然と姉妹のように育った間柄だ。
その為か、左右対称な動きをしてるうちに今では当たり前となっていた。
翼撃の剣士団の切り込み隊長を自任する剣士である。
名前のとおりカガリのクランは物理攻撃、特に剣士にロマンを感じるカガリが作ったクランである。
しかしこうも女の子ばかりになってしまったのも。歩くフラグリスト、カガリの自己責任であった。
何故カガリが、エンドアースでは、ハーレム野郎と呼ばれるのか・・・、
それは本人が無自覚にとにかくさりげない優しさを発揮して、困ってる女の子には最後まで付き合う人の良さが滲み出ている。
一方では、本人はニヒルだと思ってるタバコを吸う姿は、某うらぶれた刑事物の主人公をリスペクトしての物だ。
しかし、そんな後ろ姿もなんだか哀愁があって可愛らしく女の子からは見えるらしい。
リアルでは、39才の中年の中間管理職の課長をそつなくこなす。
そこそこ有能であり、失敗はないがこれはと言う所もないのだが、不思議と後輩、先輩に好かれるタイプであった。
カガリとしては周りの女の子達を優しく見守ってるつもりである。
しかし女の子達からしてみれば、頼れるし、優しいし、紳士的で頼れるしで、仄かな思いを抱くのには、そう時間は掛からなかったのは言うまでもない。
そんなカガリにも賞金が掛けられているが、女の子達が、女の勘というのと一部闇ギルドに所属していたプレイヤーもいたので、がっちりガードしてるせいかPKプレイヤーが、次々と逆に狩られる不思議な光景が続いていた。
今もプレイヤー率いる闇ギルド&盗賊ギルドの暗殺部隊に襲撃を受けてる最中であった。
カガリ『リンゴ、右の瓦礫にフレアバースト』
リンゴ『//了解!?』
元気にチャットで返事を返して来たのは、数少ない『魔砲撃師』のリンゴである。
魔砲撃師とは特注の杖に特別な触媒を『錬金術師』に合成してもらうと一度だけ範囲魔法攻撃が仕込める杖が作れる。
それを使って支援攻撃するのが、魔砲撃師である。
ただ、杖に込められる魔法は一度しか使えない。その為手数を増やす必要のある魔砲撃師は、一撃放ってから、沢山の杖を自分の周囲に浮かせている。
職業レベルに依存するので最大10本を準備可能であるが、リンゴの職業レベル4なので、防御用の杖1その他支援の杖1攻撃の杖二本だけだ。
リンゴ『みんな~、いっくよ~』
『『『了解!?』』』
フレアバーストは、炎系の爆裂魔法である。
ちゅど~ん!?
着弾後に、何故かコミカルな着弾音とその後にピンクの煙が上がる。
思わず苦笑してしまうカガリであったが、案の定。
『『ギァアアア~!?』』
三人の暗殺者が潜んでいたようだ。
カガリ「リンゴ、下がってろ」
リンゴ「は~い、マスター♪」
ハートマークとか付きそうな甘えた声を上げるリンゴを他所にカガリは颯爽と女の子に迫る暗殺者の前に立っていた。
本人はニヒルに笑うつもりのカガリの姿が、ベビーフェイスのせいか同年代のとっても素敵な異性に見えていた。
なのでリンゴの目はハートである。
他の女の子達なんて、羨ましげにリンゴを見てたりするが、気づかぬのは本人ばかりであった。