閑話・無言の威圧
《北条莉奈》
私たち二人は、王弟からの招待を受けて、城に登場して、歓待を受けた。
私たちその他にライバルと見なしていた。
宮廷魔法使い『賢王』ヴァリス・エンデバー
年齢も近く、服のセンスもマーマーで、中々のスタイルと容姿に好色な視線が集まっていた。
『まあ~、あれだけ足を出せばね。ミニも可愛いけど素足ははしたないわね~、せっかく異世界風なんだし、魔女っ子ルックもいいかも~』
弟のセオ・バイナーズも楽しそうに貴族のご令嬢とお話していた。
この世界ならセオ『莉央』も普通に話せる。普段は私たちだけ挨拶するけど、それ以外の言葉を莉央は話さない。
いや、話せなくなっていたのだ。
全てはあの事故が全てであった。
始まりと終わり、幸せな時間の終わりを告げる鐘の音。
急ブレーキ、軋むからだ。凄まじい衝突音に、浮遊の後に訪れた激痛に。
私は恥も外聞も投げ捨て泣き叫んだ。
失った自由に歩ける足を。
あれだけ走ることが大好きだった私は・・・、泣いた。
もう二度と動かない足。脊髄にボルトが入っているから、補助があれば立つことは出来た。
でも足は二度と動いてくれない。
そんな悲しい中学時代が終わりを迎える頃、お父さんが、私たちにフルダイブタイプの機器を買ってきたの、
これは最近、VRコネクトと呼ばれる新しい技術的で、VR機器をドローン、または小型のアンドロイドに接続することで、自由に動かせると言う物だ。
ある意味軍事機密に触れるので、口に出来ない事だ。これをもらった私たちは屋敷の中だけは自由に動ける動物のカラダを得た。
私も、莉央も夢中で遊んだものだ。
私たちの前に仄かな光が射した気持ちになった。それから父と母に進められてVRゲームも始めることになった。
その中の一つがモンスター・イン・エンドアースであった。
『まさか、あのパーティーが、私たちを捕らえる罠だったなんてね』
チープ過ぎて、天才的な頭脳を持つ私を持って見抜けなかったわ・・・。
ログアウトも出来ない状況で、私たちは途方に、くれていた。
そこを助けてくれたのが、前に飄々としたすかした顔で座っている。熊の獣人であった。
『お礼を言いたいのだけど・・・、なんでよりにもよってハーレムパーティーなのよ!?、しかも熊でモフモフしてて、優しそうな顔してるし!?』
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(なんだろうか、さっきから・・・・)
複雑な女心から、北条莉奈は、クリスを睨んでいた。なんだか女の子達が羨ましくなって、きつく睨んでしまう。
そう・・・
北条莉奈はモフモフ大好き、ケモナーの側面があったのだ!。
「あの~、君がリオ・バイナーズさんだよね。僕はクリス、クランクリスタル商会のクランマスターをしている」
リオ「・・・ピク」
「なんだか大変だったんだってね~。セオ君から聞いたよ」
リオ「・・・(ナイスですセオ!)はい」
ようやく、一言話す事が出来た。シャイなリオ・バイナーズこと莉奈であった。