当初の予定とは違うけど、僕達はワイゲン公爵の元へ向かった
《エラー地区》
・・・少し前に戻る。
衣装部屋から出た一行は、出てすぐに件の人物。
「なんだお前達は!僕ちんの宮殿に何故いるのだ。おや・・・、そこに連れておるのは新しい奴隷か?僕ちんの玩具が来たのか、でした早く地下牢に連れて行くのだ!」
訳のわからんこと喚きながら、デップりしたピエロのようでありながら、やたら金ぴかしてる悪趣味な衣装来てるオークが喋った。
戸惑う一同のなかでクリスが、ゆらりと自然な動作でオーク王子に近寄ると、有無を言わさず。
足を絡めるよう、柔道のカニバサミで引き倒した。
「ブヒヒヒヒィ!?」
オーク王子が叫ぶがお構い無しに、いつのまにか取り出したぼろぬを口の中に押し込み。
後ろで手足を縛り上げ、瞬く間にす巻きにしていた。
まさに一瞬の早業に、みんなの目が点になっていた。
「お兄!そのオーク変質者?」
「多分な。嫌な目をしていた・・・・、こいつ相当なことやらかしてたはずたぞ。だからす巻きにした」
「相変わらずの早業だね~」
朗らかな兄妹の会話にようやくみんなが我に帰った。
それで先ほどの会話に繋がる訳だ。
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サミエル「もう、ここで引き下がってもよさげね~。クリス君の謎の引きのお陰もあるけど、何故かクリス君は、ワイゲン公爵のお姫様であるサニア様にお気に入りされてるようだし。一番に知らせしときましょう、また面白いことがクリス君から始まる予感がするからしね」
セリシア「そうね~。先は長いし、私としては賛成ね~」
ザコタ「こちらもポイントはあれでかなり稼げてるからな~、うちとしても問題はないぞ。それに早く、老人、子供に炊き出ししたいしな」
どうみてもヒャーハァーな人なのだが、まともだ。それに気遣いの人でもあった。
「お兄!、お兄のお姫様ってなに!、ね~なになに」
何故か妹の目がキラキラしてるし。
ウータン「あっ、その辺りはチャットで」
ベッキー「りょーか~い」
チームケモナーが僕の知り合いだと分かるとなんだか前より和気あいあいしてるのは良いけど、何だか嫌な予感はした・・・・、
ハア~今さらかな~。
同じゲームに同じギルドに入られるとは予想外だったけど。
母さん達にも報告出来るし良かったような、悪かったような。
「なんだかやりにくいような・・・。」
『ムムムムム!?』
オーク王子が、何か喚いてたが、無視することにした。
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『反乱イベント3日目』
《王国軍・ワイゲン公陣営》
あわただしく戦況が変化する。
それの一喜一憂する有象無象の貴族どもの主張には、毎度の事ながら辟易しかない。呆れて物も言えんし付き合いきれん。
正直なところ付き合いたい類いの連中ではない。悪態を大量に飲み込んだせいで、胃もたれがしていた。
「・・・旦那様、お屋敷におられますお嬢様から陣中見舞いが届いております」
「ほ~うサニアがな」
「はい、内戦とはいえお嬢様も旦那様の事が心配なのでしょう」
「さようか・・・」
周りの貴族達が聞き耳を立てているのを知っていたが、内容が内戦とは関係無い話であったためか抜け目なく。
嫌らしい目を暗く光らせる有象無象達にわざわざ餌を与えるつもりはない。
あれは急を知らせる隠語であったのだ。
かくも貴族達とは自分たちの利益に抜け目が無い生き物である。