クリスは斜め上方に動き出す後編
クリスの指摘に、サミエル、セリシアは勿論ザコタめでハッと息を飲んだ。
ザコタ「確かにそうだ。普通なら貴人は特別な避難路を通る筈だな、お前頭いいな~」
クリス「あ、ありがとうございます~」
ザコタ「なら、もう一度闘技場の捜査をするつもりだな?」
クリス「はい!、外れかもしれませんが、どうせみんな城とか、僕らのやったようにギルド解放とかやるんです!。もしかしたら新しい闇ギルドの幹部が、『ここは安全地帯だ』とかって理由で、潜んでるかもとか思ってたりしますけどね~」
ザコタ「おっ、おお~!?、そいつは有り得そうだな~。なんかの心理学書にそう言う行動で、敵の裏をかく戦法があったな~」
『『『ひゃ~はぁ~、今日からお前は曲者と呼ぶぜ!?』』』
クリス「なっ、なんでですか!」
プリプリ怒るクリス君は、実に弄りやすい。
ベッキー「お兄~、頭は、良いんだよ~。天然なんだよね~」
『『『ああ~!』』』
実の妹に、天然呼ばわりは不本意です!。
ベッキー「それに。お兄の勘は、本家のおじいちゃんやおばあちゃん曰く、聞き逃しちゃだめなんだって~、それでこの間も有名大名の感状を見つけだしたって、伯父さん感謝してたよね~」
クリス「ああ~、あったね~、あの汚い本とかどっかの大学に持ってたら、教授が伯父さんに抱き付いて、泣いて感謝してたとか」
ベッキー「あっ、そうなの~、だからかこの間高いお肉沢山お土産にうちに来たの」
クリス「もしかしてこの間の送別会もうちを呼んだのも・・・」
ベッキー「お父さん言わなかったけど、お兄へのお礼だってさ~、お兄すぐ遠慮しちゃうでしょ~、バイト代も安めにしか貰わないし」
クリス「いや、あんまり学生の頃からお金を持つのはな~」
ベッキー「ああ~、はいはい、それは置いといて、みんな何か言いたそうよお兄!」
クリス「あっ、・・・すいません」
サミエル「まあ~あれね。クリスはやっぱりクリス君よね~」
セリシア「激しく同意するわ~」
ザコタ「なんかお前さん、曲者と言うか、面白い奴だな」
『『『ヒャーハァー、面白い奴だぜ!?』』』
その評価は、不本意ですけどね!。
ザコタ「まあ~なんだ、その勘に乗ってみようや~、外れてもある程度視聴も稼げてるぽいし。普通にやるのも面白くないしよ」
『『『ヒャーハァー賛成だぜ!?』』』
段々とこの人らのヒャーハァーも慣れてきた。
これって慣れるもんなんだね~。
こうしてクリス達は、運営の思惑も、視聴者の期待も裏切り、斜め上方に行動を開始するのであった。
視聴者のとある学者
『なんだと~、おもしれぇよ』
『なかなか鋭い指摘だね~』
『こう言う状況によって、人の本質が出るものか、実に面白いね~』
コアなファンが少しずつクリス達の視聴者に増えて行ったのも、ある意味仕方ないのかもしれない。




