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『熊の物語』見習い女優の片鱗2




 しんと、ただ静寂が、劇場の舞台を包んでいた。


 カツカツ、カツカツ、どくとくのシルエット、小型な体躯の青年貴族、ぽっちゃりした姿は慣れないと笑ってしまいそうなほどコミカルである。


ハートレイ「諸君、ようこそ私の劇場へ、今日は私も一人の観客として楽しませてもらおう!」


 そう劇場の団長は楽しげに観客席に向かって一礼していた。


(見た目コミカルだけど、ちょっとだけかっこよく見えたかもな)






☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆




支配人「では! 我が劇場に相応しいものか、始めなさい、一番クリス様」


 支配人の号令で、暗幕が下ろされ、作家によっては、スタッフ、女優、俳優、音楽など劇場の人間にお願いした。


ゴジン「さあ~、やるよ!」


 ゴジンの工房から親方含め五人の大道具が、舞台に小道具を配置して行く。


 演者はレイナただ一人、貧民街で産まれ、貧民街で育ち、女優を夢見ていた女の子。


 レイナは着ぐるみを着ながら、スタッフから返された台本をひたすら読み、主役になりきろうと舞台を、隅々まで確かめ歩き回る。


スタッフ「間もなく時間です」


 二次審査に出場する作家に与えられた時間は、小道具の設置含め30分であった。


クリス「レイナ、楽しんで」


レイナ「はい!」


 そして‥‥‥‥。


幕は上がる。


 フェルナンド子爵が作曲した音楽が奏でられる。


 楽団は劇場側が用意したもので、楽譜だけを持ち込んだ。


 楽団とは言ってもバイオリン、コントラバス、オーボエ、チェロ、フルートの五重奏だ。



 ずんちゃ、ずんちゃ、ずんちゃちゃ♪


 弾むような音楽、森の中を弾むように歩いてるそう感じさせる軽快なテンポ、


 スタッフが、森の背景にライトを照らすと。


 可愛らしいレッサー白黒パンダの着ぐるみが現れちょっとざわついた。



 つかみの一つである驚き、エンドアースの世界に、クリスが着ぐるみという異文化を運営の悪意のクエストが元で、地元民であるNPC達に見せたのだ。


「「「「おお~」」」」


女優「あら、可愛いわね♪」


音楽家「音楽も悪くないね」


ハートレイ「何でも音楽の大家ヘリオス家の当主が作曲に携わっているとか」


そら驚くよね~。


スタッフ「「面白いですな~」」


支配人「ほ~う、あの着ぐるみとかいう衣装、小さな人形にしたら売れそうですな~」


ハートレイ「確かにね。でも驚くべきはこの短時間で、背景以外の小道具、音楽、女優、衣装、スタッフを用意したことさ」


支配人「確かに‥‥‥」


女優「あの子、まだまだ未熟ですが、何か光る物を持っていますわね」


音楽家「それに場面、場面の音楽も楽しく、時に悲しく、場面ごとに効果音とするとは、流石はヘリオス子爵様」


フェルナンド「そうでもないさ、あれは彼の発案でね。こうした方がお客と劇場スタッフにどの場面で、次にどの俳優、女優が動くか分かりやすい効果があると言われて作曲したのさ」


ハートレイ「おお~!、なるほど、それならば今の演目にも直ぐに導入できるな、後で試したい」


女優「良いですわ~、団長やってみましよう」


音楽家「それなら団長、うちの楽団員に、作曲をやらせてみましようか」


ハートレイ「うむうむ、実に有意義な時間でしたね」


 カーテンコールがなされ、暗幕が下ろされる。


こうして緊急クエストはどうにか、終わりを‥‥


『緊急クエスト。迷える四人を救えクリア』


報酬


・『10万ゴールド』

・『王国劇場・作家見習い』称号 

・『フェルナンドの友』称号


 を得た。

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