肉食支店長と狙われてる商会長
《クリスタル商会・支部長室》
チラリ、ニコニコ、ニコニコ。
ムニュリ、何故かクリスの真横に座るクロエ。
腕を絡めるようにしてしなだれ掛かられてるんだけど。
普通なら嬉しい状況だよな?、でもさっきから身震いが止まらない。
クロエ「クリス様~、新しい交易船の船長なんです~けど~、知り合いに任せても宜しいですか~?」
あざとく上目遣いで、やたらベタベタしてくるクロエさん、なんだろ肉食のライオンに甘噛みされてる気分である。
(フフフ、クリス様ってば可愛らしいんだから~♪)
クリス「(うわぁ~、NPCの心の声が)」
無いわ~、ある意味一番なら~、
肉食獣クロエに翻弄されながらも、どうにか船員募集の要項をまとめあげていくクリスであった。
クリス「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
クロエ「直ぐに会いに来てくださいね!」
クリス「ああ‥‥」
疲れた。とにかく疲れた、リアでもセレス姉さんと母さんターニャ、ベッキーの買い物で荷物持ちした時ほど疲れた。
トボトボ足取りも重く、クリスは王都に戻った。
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《王都冒険者ギルド》
瞬きの扉を抜けると、冒険者ギルドに人だかりが出来ていた。
『おい聞いたか』
『何がだよ?』
『最強が、頂上決戦に参戦するらしいぜ』
『マジかよ!、こりゃ再び最強が優勝するかな?』
『ああ~、おれは全額最強の優勝に賭けるぜ』
『おう、それな』
なんだか、とても気になるワードが盛りだくさんだ。
クリス「最強ね」
クリスは知らないようだが、プレイヤーにとって悪夢のNPCの称号だった。
最大クラン明星のクランマスター『最速』と呼ばれるセンリ、
幹部
『剣客』ジジイ
『斬鉄』剣五郎
の三人他、聖騎士団『聖騎士』セルゲーリの有名プレイヤーが、一蹴されたのも記憶に新しい。
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《王都・職人工房》
ゴジン「おう!、兄さん待ってたぜ、悪いなレイナのこと感謝するぜ」
子供の頃からガキ大将してましたてな顔立ちに、朗らかな笑みがあった。
ゴジン「へへへ~、親方からも了承えたからよ!、決まったら知らせてくれよな」
それだけ告げるとゴジンは、慌ただしく仕事に戻った。
クリス「あれ?、もしかしてまた進まないパターンか‥‥‥」
どうやらエンドアース時間が関係あるようで、
クリス「明日朝からログインしないと不味いか‥‥‥‥」
この日はこれ以上何も進まずに、イベント初日が終わっていた。