音楽家ヘリオス子爵
程なく、執事が戻ってきた。
N・執事「旦那様がお会いになるそうです」
さて漸くNPCの一人と会えるようだ。
中年の執事の後に続いてヘリオス子爵家の屋敷の中に入る事が出来た。
(やはり公爵令嬢の屋敷、城とはかなり違うな)
王都に屋敷を構えてる以上、貴族としては有力である。
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『旦那様、お客様をお連れ致しました』
ファルナンド「入ってくれたまえ」
私の名はファルナンド・フォン・ヘリオス法衣貴族である。王都では我が家は音楽家として有名である。
私のミドルにフォンが付いているのは法衣貴族だからだ。
フォトンになると領地貴族となるため法衣貴族よりも税収は上がるが、貴族同士の付き合いが面倒になる。
ただ伏魔殿である王宮での立ち回りの面倒さよりはましである。
法衣貴族にも派閥がある。有名処だと軍閥、王族派、中立派だろうか?、最近では更に王弟ヤリー・チーンノ殿下とビチーノ王妃が支援する第二王子の派閥か、あそこは色々と目に余る。
ん?、私か、私は芸能・芸術を支持する派閥で、僅か三名と言う小さな派閥だ。
最近王都では、闘技場で行われる『頂上決戦』の話題で持ちきりだ。
私としても貴族の男として血肉躍る肉体のぶつかり合いを否定するつもりはない。
あれはあれで勇壮な音楽が降りてきたからな。
ただ最近は綺麗すぎる悲恋、楽しい冒険の音楽が好まれているのだが、私は飽きてしまったのだ。
どうか音楽の神よ。我に新しい音楽の閃きを与えたまえ。
そう願っていたある日のこと。
『王国劇場』の団長が支配人に命じた、新しい物が見たいと。
つい昨日の事だ。すると今朝、つい今しがたワイゲン公爵家の御用商人が訪ねて来たのは、
家の執事が聞いた話だが、どうやらその商人は、無謀にも作家を自任しているらしいのだ。
さらに言うと。この私にその作品を見て、音楽を作曲してほしいと面白いこと述べたらしい。
ファルナンド「実に面白い。フフフ。この私に作曲させようなんて、随分と傲慢だ」
もしも舐めていたのなら、いくらワイゲン家の御用商人だろうと。ただでは済まさないつもりである。
クリス「うわぁ~、こわ!、貴族ヤバ」
いきなりVTRが流れたかと思えば、やはり青い血の貴族は、怖い生き物だった。
でもまあ~、やること変わらないんだけどね~。
ファルナンド「ようこそ我がヘリオス家へ」
にこやかな笑顔だが、全然目が笑ってないよ。
クリス「初めまして、異界の冒険者で商人、この度作家になろうとする者でございます」
礼儀作法とか知らないが、この間姐さん中達に習ったので誤魔化すしかないな。