お約束クラッシャークリス
ちょと豪華な馬車は、貴族街を出ることなく。
人通りの少ない寂れた古い屋敷跡の側を通って、貧民街のある通りに出ていた。
貴族はあまり知らないが、使用人、下男や下働きの者は、表の入り口からわざわざ貴族街に入らなくても入り込める。裏道のような物があった。
所謂ごみ捨て場が、貧民街の外側にあるのだ。
普通貴族のしかも王位継承権を持った公爵家の御令嬢である。
とある伯爵の密命を受けていた闇ギルドの者は、いつ御令嬢が出てきても言いように。
見張りを出していた。
しかも闇ギルドは一つだけではなかった。
N・間者1『おい、御令嬢は屋敷を出たのだな』
N・間者2『金を掴ませてる下男からの知らせだ。それに居城を見張らせてる見張りからも知らせが届いた』
N・間者3『吾は、襲撃班に報せた後、スペクターにも情報を流す』
N・間者1『承知した』
西城ワイゲンにある三大ギャングの一つを使ってまでの襲撃‥‥‥‥、
貴族同士の権力争いが裏で行われているようだ。
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無論、万一のこと考えない者は居ない。
その為のギャングスペクターだったのだが‥‥‥、
サミエル「クリス君、道が違うようだけど?」
外を見ていたのかサミエル姐さんが、中からひょいと顔を出していた。
クリス「あっ、【気功】のことで色々あって、相談してないや、姐さんゴメンね~、一応メールでは知らせけどさ。貧民街の一部をうちのクランの下部組織『ダルク』が支配してまして━━━」
貴族街のごみ捨て場から貧民街の歓楽街まで抜けれるルートだと教えた。
サミエル「あっ!、なるほどね~、貴族街から直接外に出れるわ。クリス君ナイス!」
クリス「‥‥‥//どっ。どうもです」
幼女なドワーフに頭をナデナデされる赤熊族の大剣使い。
ちょと変な世界に入りかけたクリスだった。
また闇ギルド側も予想外であった。
本来三大ギャングの一つスペクターの支配地だったのだが‥‥‥‥
全く知られていない第四の勢力に奪われていたのだ。
対する公爵家側も予想外であった。
クリス達は公爵令嬢の護衛と言う名前の囮だったのだ。
《執務室》
N・執事「旦那様、急ぎ御知らせが御座います」
普段どんなことが起きようと沈着冷静である配下が、僅かながら動揺を隠せずにいた。
公爵は眉を潜め嫌な予感を覚えた。
公爵「‥‥‥‥‥‥話せ」
先を促した。