快楽者
マーネイン「あらあらあらあら、おいたが過ぎるようですね~」
我を忘れてるフリをしてたんだけど。
ヌッチョリしたなんとも気色悪い眼をした優男が、優雅に立っていた。
マーネイン「貴方、もう良いわ」
嫌な予感がした。何となく防御アビリティを使っていた。
『02:33』
クリス「【気功】【我慢】【重量】」
コンボアビリティ【硬気功・不動】
カンカンカンカカカカカカカカカ!
マーネイン「あら?、私の【瞬身】を受けて無傷ですか。クフフ♪、殺りがいがあるわね~」
ニチャリ、ヘドロのような執着を『殺し』の言葉に含まれていた気がした。
寒気を感じて、背がゾクッとした。
クリス「【気功】」
『04:59』
クリス「【溜め】【縦斬り】」
コンボアビリティ【地走り】
牽制の意味とちょっと恐かったから、遠距離攻撃にした。
逃げたとも言うが、クリスの気持ちも分からなくはない。
エンドアースの15Rの設定解除したため、ゲーム内なのにリアルにある強い悪意、殺気、嫌悪を感じやすくなっていた。
クリスがその事に気付くのは、かなり先の話になる。
マーネイン「あらあら、私達に喧嘩を仕掛けた癖に、生意気よね~。臆病風に吹かれたみたいね~」
いきなり目の前に現れたマーネインは、手を煌めかす。
クリス「なっ!。早い」
盾を構えたのだが、
マーネイン「盾なんて無粋ね~、貴方を刻んで、あ・げ・る。フヒッ♪」
どうやらナイフを獲物にしてることから、盗賊系の職業に付いてる事が分かる。
クリス「メスのようなナイフだ」
先端部分だけ見ると片刃の薄い作りで、斬るよりも裂くことが目的のナイフを手にしていた。
マーネイン「あら~ん!。良いわ、固くて、刻みがいがあるわ。フヒヒッ」
手にしたナイフが砕けていた。ポイ捨てした優男は、新しいナイフを取り出して、ヌッチョリした笑みを浮かべた。
クリス「あっ『快楽者』‥‥‥」
ようやく男の正体に気付いた。
快楽者「フヒヒッ!」
いったい幾つのナイフを持っているのやら‥‥‥‥。
クリス「暗殺者?、いや闇ギルドの」
快楽者「クフフ、正解!」
『01:53』
クリス「【溜め】【溜め】【パワースラッシュ】」
コンボアビリティ【大地斬】
クリスに迫る快楽者、しかしクリスは足元に向かってブルーメタルのロングソードを叩き付けた。
自爆覚悟の攻撃は、自分含めて石の散弾が周囲を纏めて攻撃した。
快楽者「!」
ヌッチョリした笑みが、苛正しげに歪んだ。
快楽者とは、自分が傷つける行為に興奮するのであって、自分が傷つくのを嫌う。
嫌、嫌悪すると言ってよい。