娼館の攻防Ⅲ
まあ~。現地の人間にとっては、呆れた理由だろうね。
ただ僕にとっては違う、ここはゲームの世界だ。
やっぱさあ~、自分の都合を押し付けるよね?
呆れても押し付けるよね。
その方が楽だから。
マダムリヨン「参ったわ、ええ~、ええ~、貴方、分かってるのかしら?」
マダムリヨンは眉間を伸ばすように揉んでいる。
クリス「ええ、ついでにスペクターの支配地を攻略するつもりですから、分かってるよ」
マダムリヨン「そう、スペクターの幹部『快楽者』と事を起こすのね」
クリス「『快楽者』?」
ギャングスペクターには三人の幹部がいる。
マダムリヨン「貴方は!、私たちは身体を張ってスペクター、悪魔の蠍、オイデマセから中立を保ってるのよ。無知は罪よ!」
火を吐くような気迫に、クリスは気圧されていた。
(これゲームだよな?、すげー年上の女性に叱られてる気分だ)
マダムリヨン「貴方達が、貴方達がの勝手が!、女を殺すのよ」
感情的になった女性には何を言っても通用しない。クリスはそれをよく知っていた。
クリス「なるほど、『快楽者』を倒せば、貴方達が『ダルク』に情報をくれるようになると」
マダムリヨン「バカにするな!?」
バチン、思いっきり顔を張られた。
マダムリヨン「出ていきなさい!、二度と私達に関わらないで」
クリスは固まる。ゲームなんで痛くはない。痛くは無いが‥‥‥。
涙を堪える女性の姿が衝撃的だった。
(ゲームだけどこんなところラバンド伯父さんに知られたら。殴られそう‥‥‥)
クリス「失礼しました」
あくまでもクリスはゲームの世界とはいえ。不法侵入者でしかない。
兵士に突き出されないだけ、マダムリヨンは理性的だったと思う事にした。
☆☆☆☆☆☆☆☆
《娼館・アンゼローゼン》
何とも言えない気分のまま、娼館リヨンを後にしたクリスは、
その足で、スペクターの娼館に向かっていた。
ギャングスペクター
ボス
◆アルカーノ・バッテリーノ
二つ名:『戦獅子』
戦場で名を馳せた一流のA級傭兵だった。
30代の若さで傭兵を辞めたが、傭兵ギルドの幹部となった。
現ワイゲン傭兵ギルド副マスター
裏ではスペクターのボスとして、
裏表の権力を有していた。
西城ワイゲンは、ランバルト王国の副都市である。
ワイゲンを治めているのが、王家に連なる王位継承権三位を持った公爵ロード・ワイゲン家が治めている。
ランバルト王国には三家の公爵家があった。
城塞都市ベルゲン、国境の町プレハを治めている。ロード・ベルゲン、ロード・プレハ公爵家である。
普通ロードとは街の支配者に与えられる称号であると共に、国軍の一つを運営する義務と武力を与えられる称号である。