同級生
一学期、入学してからそれなりに時間が経てば、クラスの人間関係や性格もある程度は分かって来る。
中学のような露骨な嫌らしい視線こそ無いが、それなりに視線を感じることはある。
それは暖かくなれば余計に感じるし、この頃の女の子は少女から女の体に変化する時期である。
同級生とて眩しく感じて進学校でも、惚れた晴れたが始まる時期である。
田所安秋「う~ら~ぎ~り~も~の~」
バスケ部の田所がゾンビが徘徊するような足取りで、頭をガリガリしながらやって来た。
うん、ザマアだな。
ある意味自業自得だね。
弘明「ふっ」
上から目線で鼻で笑っていた。
田所「チッ、持ってるやつは、夏休みまでゲットするとはな‥‥‥」
白目を剥きながら。ぐぬぬぬぬとか唸る田所、わざとらしく女子にアピールとか、狙いすぎだろ、あざとい奴め。
弘明「ふっ、田所まあ~まあ~、お前には沢山の仲間が居るんだ。補習を頑張ってくれたまえ」
うわぁ~弘明君、やっちゃたな~
バカだから仕方ないけどさ、
真壁や新城君の反感買ったし、
ある意味調子に乗ってんな~
友美「はいはい高田も調子に乗らない。これが高田君の宿題ね」
弘明「フヒヒ、宿題が終わったら‥‥‥‥」
キモい笑みに、真壁と新城がドン引きである。
運動部は高田君以外は全滅かな?
牧鳥裕一「なんだよさっきから、高田君キモ過ぎるな」
ただ一人我関せずとスマホポチポチしてた牧鳥が、珍妙な生き物見るような目で高田君をジロジロ見ていた。
栗栖「牧鳥君も気楽な夏休みを迎えれるようだね」
牧鳥「まあね。一学期だし」
栗栖「だよね~」
ある意味、小市民的な学生である僕のように。最初は頑張るのがベターな学生は多い筈である。
友美「はい、栗栖君」
栗栖「あっ、ありがとう秋好さん」
友美「あっ、栗栖君は夏休みどうするのかな?」
何気ない様子で、夏休みの予定を聞いてくる。
栗栖「僕も例に漏れず、なるべく早めに宿題を終わらせたいかな」
何となく秋好さんの目がそれじゃないと言ってる気がした。
栗栖「八月前半に伯父さんの所でバイトがあるんだけど、お盆は親戚が海外から来るから20までは忙しいかな」
友美「ふう~ん、20日過ぎなら予定は無いんだよね?」
栗栖「うっ、うん無いけど‥‥‥‥」
魅力的な笑みを間近で見た栗栖、思わずドキドキしてしまう。
友美「あっ、ならむっちゃん先生のお願いがあるんだけど‥‥‥‥」
ガラガラと夢と希望が崩れ去る音が、聞こえた気がした。
田所「けっ、けけけ‥‥‥‥そんな甘いラブなんて無いぜ」
妙に醜悪な顔をした。田所の一言が胸に刺さった。