高屋敷学園の終業式
ミーンミンミンミ~
今年も暑くなるのか、遅い梅雨明けと供に、気の早い蝉が鳴いていた。
外は生憎の曇、ベタつく空気はあるが、まだ気にならないレベルの暑さである。
父さんは言ってた。
昔に比べて暑くなってると。
うん、今年も酷暑かな?
風が入らない夏場の体育館と足の指先が悴む冬の体育館、どっちかを選ばなければならないとしたら、それはとても嫌な選択肢であると僕は思った。
まあ~あくまでも思っただけだけどね(笑)
体育館に集まったのは一年、二年だけだ。
三年になれば選択授業になるので、専門クラスに編入され。翌年の受験に備えてく訳だ。
なので三年だけは終業式免除になっていた。
こればかりはちょっと羨ましいかな、進学校と言っても校長先生や何処かの偉いさんの話は長い。
こちとら暑いなか意味のない話をされるとイライラする。
もっともんなこと言えば、叩かれるのは目に見えてるがな。
☆☆☆☆☆☆☆☆
暑い最中、長々と長話されてグッタリしてると担任の睦宮先生が教室に慌ただしくやって来た。
睦宮「学級委員、済まないが宿題のUSメモリーを名前通りに渡しといてくれ」
秋好友美「むっちゃん先生~、了解でーす」
睦宮「さて、必要事項は各自タブレットの学年別掲示板を確認すること、もうしばらく学年別会議がある。補習が言い渡された生徒は。日付が決まり次第メールするからな、普通に夏休みが迎えられるとは思うなよ」
眼光鋭い睦宮先生に睨まれ何人か、体を小さくしていた。
睦宮「無事に一学期の試験で平均以上を取れた生徒は、時間まで自習するなり、休憩するなりしてる権利を与える。ご苦労だった。以上だ」
それだけ早口に一気に伝えると睦宮先生は慌ただしく教室を後にした。
うん、夏休み前だし色々と忙しいようだね。
まあ~一部の生徒は頭を抱えてるけどね。
野球部の赤倉翼とかね(笑)
高田弘明「栗栖も無事に夏休みを楽しめそうだな」
栗栖「まあね~。一学期だしそれなりに頑張るよ」
弘明「だよな~」
二人は赤倉翼を見て黒い笑みを浮かべた。
まあ~ぶっちゃけ赤倉以外の三人も二人の友達だから。ちょっとした優越感に浸っていた。
秋好友美「ちょっと二人して黒い笑みを浮かべない!」
最近お胸が育ち盛りの秋好友美学級委員であり、二人の友人でもある。
栗栖は母や叔母の躾をしっかり受けてるので、視線に敏感な女の子の体に目を向けることはしない紳士な一面を持っていた。
クラスの女子も男子の視線には敏感である。
栗栖の紳士的な振る舞いも理解していたりするのだが、栗栖の方は気付いていない。