閑話・とある少女の冒険者ギルド
イシルは、課金して購入した。小さな可愛らしい家から外に出た。
イシル『なるほど‥‥‥‥街並みは、中世ヨーロッパを模したのですわね。これは見て回るのが楽しみになるわ♪』
流石は大公国の王都であった。
ゲームとは思えないクオリティー、さらに現代の地方都市並みの人出である。
イシル『ゲーム用語だと現地人のこと、NPCと言われてるようですが、これは‥‥‥‥‥生きてますね』
生き生きとした表情がとても印象深い。
イシル『左上にあるマップは便利だけど。風情に欠けるわね』
イシルは生まれて初めて、疲れない身体に感動していた。
イシル『‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥凄い』
足取りが軽い。実に軽くて、興味の赴くまま歩き回り、お店を見て回った。
「いらっしゃい、いらっしゃ~い、そこいくお嬢さんに、綺麗なお姉さん見てらっしゃい」
「あら、お嬢さんだなんてやだわよ~」
いかにも中年の主婦が、照れた顔で立ち止まる。
「なにいってがりますかお嬢さん、うちの白菜なんか、お嬢さんの瑞々しい肌に負けないくらいだぜ、良かったら一つどうだい」
「あらあら♪、お一つちょうだいな」
「へい毎度!、こいつはおまけだ」
「あらリモナじゃないか」
「おうよ、最近出来た初心者のダンジョン産だな、安くて甘い」
「あら良いわね。そちらも貰えるかしら」
「お嬢さんはお目が高いね~」
リモナは見た目グミに似た小さな果実だ。
グミの実は酸味が強いが、後をひく味わいである。
イシル『初心者のダンジョンですか‥‥‥‥』
ダンジョンなんとも不思議とワクワクするような響きが、イシルの琴線に触れた。
イシル『そうね。冒険者ギルドに向かいましょう』
★★★★★★★★
いくらマップが左上にあるとは言え、出歩くことが今まで無かった少女が出歩けば迷子になったり、娼婦館に連れ込まれそうになったり、裏ギルドに誘拐されそうになりながら。
どうにか無事にいかにもな武装した人間の出入りする。建物を見付ける事が出来た。
イシル『大変だったけど‥‥‥‥ようやくね』
口では大変だったけどとか言いながら、顔には愉しげな笑みが浮かんでいた。
イシル『いわゆるウエスタンかしら?』
外国人のプレイヤーが多い海外版では、西部劇に出てくるような酒場が、冒険者ギルドの内装に採用されているようだ。
受付嬢「おはようございます。登録ですか?」
イシル『はい、登録です』
受付嬢「承知しました。それでは最初のクエストである『チュートリアル』を受けますか」
『初めてのクエストチュートリアル』
yes/NO