一斉メールの結果
一斉メールを送った。勿論イベントに参加しそうな女性プレイヤー限定でな。
因幡の白兎「ねぇパパ~、お出掛けしちゃうの?」
クリス「パパじゃないが、メール次第かな」
因幡の白兎「ふ~ん」
何かご機嫌に添わなかったのか、食堂にある小さな鏡に写る白兎のウサミミが、へにょりとしていた。
まあ~、普通の相棒と違って、相棒の島に出れない仕様のようだし。白兎は寂しいのかもしれないな。見た目通りの幼女なようだし、それは仕方ないことかな‥‥‥‥。
クリス「そうだ白兎、出掛けるまでお兄さんとプライベートエリアで遊ぶか?」
因幡の白兎「うん!、遊ぶ」
ぱっとはしゃいだ声を上げた。機嫌がいくらか直ったようだ。
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ミドリ「あらクリス君からね。何々‥‥‥」
クリスからのメールを開いて、中身を見ていた。
ミドリ「ほへ~、クリス君『幻』属性ゲットしたのね、何をゲットしたのかしら?、あれって早い者勝ちですものね。まあ~、ある意味ちょうど良かったかしら、ねっ?」
ちらりと白狐を見てから、同じくバイトプレイヤーのアイコを見る。アイコは苦い顔で頷いた。
ミドリ「おいで白狐」
白狐「コ~ン」
たまたま見付けたので、皆に相談
していた時に、クリスからメールが届いた訳だ。
ミドリ「宜しくね」
白狐「コ~ン♪」
どうやら『幻』属性だけは見付けた順にしかゲット出来ないらしく、またプレイヤーに一体のみ。まさに運に頼らなければならないらしい。
アイコ「‥‥‥私も。課金チケ欲しいし悪くない話よ。ね」
二人の話は直ぐに纏まった。
ミドリ「メールしとくね~『了解と』」
ヒナタ「あっ!、クリス君からメールだよヒタチ」
ヒタチ「ん?、俺には来ないんだが」
形のよい眉を潜めるヒタチ、
ヒナタ「ああ~、この内容じゃヒタチにメールしないよ」
ヒタチ「‥‥‥‥ん?」
意味が分からず首を傾げた。この二人はクリスと同じく宝石獣を持っているプレイヤーで、王都のダンジョン『墓場のダンジョン』で出会ったプレイヤーである。
ヒタチ「そうか、で何だって?」
ヒナタ「相棒の島のイベントのことよ」
ヒタチ「ああ~、あれか」
整った顔が、嫌そうに歪む。
ヒナタ「はあ~面白そうなのに残念」
ヒタチ「‥‥‥‥‥」
ちょと前までヒタチとヒナタは、信頼していたプレイヤーがいた。彼のクランに入ってたのも誘われたからで、まさか騙されていたとは考えもしなかった。
詐欺に気付かせてくれた恩が、クリスと言う赤熊族の大剣使いにあった。
ヒナタ「あっ!、クリス君、クラン開設したのね」
ヒタチ「そっ、そうなのか!」
急に食い付くヒタチ。一つ溜め息を吐いて、素直じゃない幼馴染みを持つと苦労が絶えないようだ。
ヒナタ「素直じゃないんだから」
ヒタチ「くっ‥‥‥‥‥」
そっぽを向いたヒタチに、仕方ないと肩を竦めたヒナタだった。