まったりな日曜日2
祖母が戻らないと聞いて、テンションやや下がりなベッキーを乗せて、父さんが運転する黒塗りのバンは緩やかに出発した。
何はともあれ、お小遣いが貰える可能性は高いし。前回のバイト代も貰えるかもね。
(あれは変な体験だったな‥‥‥)
それは秋吉集落と呼ばれる山間にある小さな集落に、伯父さんと行った時だ。
伯父さんと古い土間の日本家屋に入った時に。遠目に見える家屋の庭で。おかっぱ頭の女の子が、手鞠の様なもので遊んでる姿が見えた。
後で聞いたら、その家は既に使われなくなった家屋であり、昭和18年頃にはその分家も‥‥‥
当主である老人に言われて、肌が粟立った物だ。
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古い家が並ぶ街並み、伯父さんの住まいは港から程近い、古い街並みの一角にあった。
ベッキー「ほんとこの辺は、坂ばかりよね~、はあ~」
駐車場から、伯父さんの家まで、少し歩くことになる。
ちょっと不便だが仕方ないさ立地なのだ。
母さんとベッキーは、ご近所のお婆さんと、リフトに乗り込んだ。本家に持ってくお歳暮と荷物を乗せて、楽々上に上がっていった。
そんな様子を横目に、僕と父さんは、150段はありそうな、急な階段にヘイコラ言いながら登っていった。
栗栖「これさえ無ければ、もっと来るのに」
父さん「まあな‥‥‥」
せめて車で上がれたら違うのだが、
父さん「だが、兄貴が言うには、来年には裏山を通れるようにするとは言ってたぞ」
栗栖「父さん、それ去年も聞いたよ」
住宅街がある難所の裏は、渓谷のような山と川に分断されていて、その山が私有地であり、本家が所有していた。
父さん「そうか‥‥‥」
しゅんとする父さん、見た目はプロレスラーなのに、僕らの突っ込みが強いと落ち込む。母さん曰く、そこが可愛いらしい。
無いわ‥‥‥
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本家は最近建て替えられたので、真新しい三階階建ての二世帯住宅になっていた。
前はもう少し裏山近くに。本家の屋敷はあったのだが、
諸事情で、新しく建て替えたらしい。
まあ~僕としては前よりも楽なので。文句はない。
ベッキー「お父さん、兄~、遅い!」
いやいや理不尽だろ妹よ、苦笑しながら、父さんと僕は、二人と合流して、本家に向かった。