閑話・幼女な二人の大人の事情
『サミエル』
女ドワーフ:56
レベル19
職業:『名工』『鍛冶師』『皮職人』
エンドアースのゲーム世界では、ドワーフの幼女をロールしながら、『鍛冶師』を営んでいる私だが。
リアルでも幼女にみえる困った体質だった。
数年前までは、
体は小柄だが、年相応な容姿をしていた。
運命のあの日。
某製薬会社の実験中に、事故に合ってしまい、
リアル幼女。ようするにロリババになってしまったのじゃ。
色々と変わった経歴を持っているがな。リアルな私は多忙なのだ。
現在は、某女子大学教授をしている。
掛川ターニャ・クラリスと言えば、特殊な幹細胞の培養に成功したことで、ちょっと有名である。
『面倒だわ………』
タブレット端末を繋ぎ、ビデオ電話を繋いでる相手、
同じく事故にあって、幼女になってしまった私の親友で。ゲームでは、
『セリシア』
女エルフ:55
レベル18
職業:『精霊使い1』『中級錬金術師1』『弓使い5』
こと水無瀬瀬里夏
である。
現在は二つの大学、それぞれが免疫関連の研究をしていてな、ある程度目処がたったので、自分達のこと隠せずに遊べるVR、仮想世界のゲームにハマっていた。
あれも一部我が研究室が、開発に関わっていての、私らもVR器機をプレゼントしてきたのじゃ、
前から興味があった私らは、エンドアースの世界で息抜きすることにしたのじゃ
今、タブレットの向こうで、苦笑いを浮かべておるわ。
『本当だったら、今頃、クリス君と遊んでたんだけどなあ~』
『言うでない』
それは私もムカついておることじゃからな。苛つくの~、あのばか共は、私らの忠告を無視して、研究結果をアメリカの企業に売ってしもうたのじゃ。
それが分かったのが昨夜。間が悪いにも程があるじゃ
ろ。
エンドアースでは、エルフの幼女ロールを営む瀬里夏が知らせてきたのじゃ、
『アホに付ける薬は無いのじゃ』
『そうだわね~、あっクリス君からメールがあったわ、なんか知り合いの女の子三人から、私達のクランに入れてくれって、でもクリス君は義理堅いから、私達に聞いてからだってさ』
なっ。あの子はしょうがない子じゃな。さっきまで覚えておった怒りが、すう~っと抜けていった。
『よし瀬里夏!、とっとと済ませるのじゃ』
『クス、そうね仕方ないわ、やるしかないわよね』
私達の最後の仕事は、企業が売ってしまった研究の足りない部分、それを纏めて渡すことだ。
本当に録なことしない企業が増えたわ、あそこもギリギリだったしね。所詮はベンチャー企業でしか無かったわ………
これが終われば、クリス君とゆっくり遊べると言うものじゃ。